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第165回国会
2006年11月9日
教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査

コメント
■ 前回(10月26日)の委員会で私が滝川市の事件を取り上げたことを受け、11月7日、文教科学委員会は荒井委員長をはじめ9人の議員団でいじめ問題及び高等学校の履修科目不足に関 する実情調査のため滝川市に視察に入りました。
■ 当日は、前回文科省の現地調査では行われていなかった自殺した女子児童のご遺族や、当時の担任教師とも意見交換を行いました。
■ 9日の委員会では今回の調査結果をもとに、大臣及び当局に再度いじめ問題に対する考え方 、対応策を質しました。。
■ 今般の頻発するいじめ自殺事件や、高等学校の未履修問題等に鑑み、教育委員会の在り方について多くの議論がされているが、教育行政の在り方自体をしっかり議論しなくてはいけないと考える。そこでこの点について、教育行政の在り方がこれでいいのか、都道府県、また市町村の教育委員会がこのままでいいのか、大臣の率直な見解を求めました。





■委員長  教教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。
 去る七日に行いましたいじめ問題及び高等学校の履修科目不足に関する実情調査のための視察につきまして、視察委員の報告を聴取いたします。佐藤泰介君。


■佐藤泰介参議 委員長に指名をいただきましたので、視察の報告をさせていただきます。
 去る七日、いじめ問題及び高等学校の履修科目不足に関する実情調査のため、北海道滝川市に視察を行いましたので、その概要について御報告いたします。
 視察委員は、荒井委員長、北岡理事、大仁田理事、蓮舫理事、中川委員、水岡委員、鰐淵委員、井上委員と私、佐藤でございます。
 今回の視察では、まず、自殺した女子児童宅に弔問にお伺いした後、近隣の公共施設において、御遺族から、女児が自殺に至ったいじめの実態や、当時の教員・学校側、教育委員会側の対応について説明を伺った後、意見交換を行いました。女児がいじめに苦しんでいるときの教員・学校側の対応、自殺後の原因究明や遺書の扱いなどについて、遺族御自身で努力された聞き取り調査などを踏まえて、隠ぺいの動きなど学校や教育委員会に対する強い不信感が訴えられました。
 その後、滝川市教育委員会に移動し、当該小学校PTA及び校長等、市教育委員会、北海道教育委員会関係者からの説明聴取及び意見交換を順次行いました。
 当該小学校のPTAからは、当初からいじめの認識は持っていたが、犯人捜しよりも、まずは、子どもの心のケアを優先し、二次的な被害が起こらないようにすることを学校側に要請してきたとのことでした。
 続いて、当該小学校の校長、教頭、生徒指導部長、既に他校に異動している当時の担任教師と意見交換を行いました。この中で、今般の事件において、当初、学校・教員側の動揺や子どもの心のケアを優先していたことから、いじめによるものと認識できなかったこと、一か月以上たって、改めて遺書の内容を見てからいじめがあったことを意識して調査を行ったこと、いじめによる自殺を隠す意図はなかったこと、当該児童が自殺に至るほど深く悩んでいたことに教員、学校が気付くことができなかったこと等について説明がありましたが、校内の指導体制、児童に対するセーフティーネット、教師の子どもに対する観察力・指導力など、いずれもが欠如していると痛感いたしました。
 次に、滝川市教育委員会からは、女児の自殺がいじめによるものとの可能性を念頭に調査を行ったものの、因果関係の確認に重きを置き過ぎ、結果としていじめによる自殺であるとの認定が遅くなったこと、また、事件後の教育委員会における協議の内容や具体的な対応については、月一回の定例会議で報告を受けていたものの、いじめによる自殺と認定するまでの間、対応が受け身になってしまったこと等の説明がありました。なお、現在停職中の前教育部長からは、提示された遺書について、「それは文書だ。見たくない。」といった報道につき、「文書であるとは言っていない。遺族の気持ちが高ぶっているときなので、また見せてもらいたい。」という趣旨であったとの釈明がありました。
 続いて、北海道教育委員会からは、当初より原因にいじめがあることを視野に入れて調査するよう市教委を指導してきたこと、事実解明につき市教委から事実確認ができていないとの報告を受けていたが、道教委としては、より強い督促をするなどもう少し早く対応すべきであったこと、現在、最終報告書作成のため、市教委に人員を派遣し、協力しながら作業に当たっていること等の説明がありました。なお、担任教師の他校への異動時期が通常より早い理由については、後日、報告したいとのことでした。
 最後に、当該小学校の校長等、滝川市教育委員会、北海道教育委員会の三者を交えて意見交換を行いました。今後の対応について、これまで、報告・連絡・相談など情報を共有する努力が不足していたこと、学校全体で取り組むべき課題を担任に任せ過ぎていた実態、子ども・保護者等への教育相談体制の不備などがあったため、現在、それら体制の改善に取り組んでいる旨の説明がなされました。
 また、高等学校の必修科目未履修については、滝川市立の高等学校においては生じていないこと、未履修のあった北海道の公立、私立学校については、文部科学省の通知に基づき、各学校に対応方指導をしていること、今後は指導主事が各学校を回る際に、その実施内容について直接聞き取り調査をするなどして対応する旨の説明がありました。
 以上で報告を終わりますが、今回の調査に当たり、関係の皆様方から御協力いただきましたことを、この場をおかりして厚く御礼申し上げ、視察報告とさせていただきます。

■委員長 以上をもちまして視察委員の報告は終了いたしました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

■中川義雄  自由民主党の中川でありますが、今日はまた午後園遊会がありますので、委員長始め大臣、その他多くの方々が招待されていると思いますので、限られた時間の中で簡潔にやりたいと思いますので、よろしく御協力いただきたいと思います。
 まず最初に、私は今日、いじめ問題と高等学校における必修科目の未履修問題、この二点に絞って簡潔に聞きたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、今報告にありましたが、滝川市に行ってまいりました。痛ましい事件でありましたが、委員の皆さん方が熱心によく見て議論して、大変効果があったと思って帰ってきましたが、しかし、私もまだまだ納得できないことが数多くありますので、この問題はこの委員会としてもしばらく重大な関心を持っていかなければならない問題の一つだと、こう思っております。
 そこで、この痛ましい事件は昨年の九月九日に発生しました。それからもう一年とちょっとたっておりますが、最近はこのいじめの問題が常に社会をにぎわわせておりますが、文部科学当局は、あの事件以来一年間強、どのような事件があったのか、その点についてここで報告していただきたいと思います。

■政府参考人(銭谷眞美文部科学省初等中等教育局長) 滝川市の事件は昨年の九月に子供が自殺を図った事件でございますが、以後もいじめを理由とするいろいろな事件が起きているということを私ども承知をいたしております。最近でも、愛媛県の今治、あるいは福岡県の筑前町、あるいは岐阜県等でいじめが原因ではないかと思われる自殺の事件が発生をいたしております。
 ただ、文部科学省の統計的な調査は年に一度実施をしておりますので、その件数等についてはこの一年間のものはまだ把握をいたしておりませんが、その調査自体についても、私ども、今までいろいろ御指摘もいただいている課題があると思っておりますので、その調査票の見直しを含めて、今後、統計的な意味での実態の把握にも取り組んでいきたいと思っているところでございます。

■中川義雄  先日の滝川市における調査におきましても、この種の調査というのは非常に微妙なものだなと、そんな雰囲気が伝わってまいりました。そして、そのとき感じたのは、家庭にも学校にも、また地域社会にも大きな責任がある、そんな感じがしたわけです。
 我々がその際、PTAの代表と話し合いました。率直な話合いをしたかったんですが、このいじめ問題が発生したとき、この自殺問題が発生したとき、PTAの代表は、最初から最後まで主張したのは、犯人捜しはやめていただきたいという話に終始していたわけであります。何か調査すると犯人捜しだと、だから口を止めようというような雰囲気がこの社会全体にありまして、これがまた今回の、一年間もこの事実が隠されたという大きな体質になったのではなかろうか、そんな気がしてなりません。
 そしてまた、一方ではいじめが不登校の原因になっているんではないかという意見もよく聞かされるわけでありますが、その点について文部科学省当局の見解を伺いたいと思います。

■政府参考人 (銭谷眞美文部科学省初等中等教育局長) 小中学生、そして高校生で不登校になっている子供の数は多いわけでございます。私どももその児童生徒の不登校の原因について調査をしているわけでございますけれども、いじめが原因の不登校があると考えております。
 文部省の調査では、不登校となった直接のきっかけということで調査をしているわけでございますけれども、この直接のきっかけとして友人関係をめぐる問題というものが不登校の原因ではないかというふうにされているものが約二割ございます。この友人関係をめぐる問題の中にはいじめを含むということにしているわけでございますので、やはりいじめが原因の不登校というものは私ども少なからずあると思っております。
 また、不登校がその後も継続しているという理由の中に、学校生活上の影響というものの割合も七%ほどございます。つまり、学校にまた行きますといじめられるおそれがあるといったようなことがその中に入っているわけでございますので、いじめと不登校というのは非常に関連があると受け止めております。
 ただ、私どもの調査、先ほども申し上げましたけれども、いろいろ見直し、考え直さなければいけない点ありますので、この点もっと明らかになるように更に工夫をしていきたいと思っております。

■中川義雄 時間がありませんので、なるべく簡潔にお答えいただきたいと思います。
 十一月七日に我々、現地に調査に入ったんですが、そのとき驚くニュースが二本入ってまいりました。一本目は、十一月六日に、伊吹大臣あてに予告文書といいますか、そういう便りが届いたという話であります。その内容等も聞かされてびっくりしましたが、我々が調査している最中にあの竜巻が北海道で起きたという大きな事件がありまして、竜巻とは直接関係ありませんが、何か不吉な感じをしたというのは否めない事実であります。
 そこで、大臣あてのこの自殺予告、これはショッキングなニュースでありましたが、このことについて当局の、これまでどんなような対応をしたのか、事実だけ簡単にお知らせいただきたいと思います。

■政府参考人 (銭谷眞美文部科学省初等中等教育局長) 今週の月曜日、六日でございますが、いじめが原因で自殺する旨の手紙が同封されました文部科学大臣あての郵便が文部省に届きました。
 その内容を見ますと、八日水曜日までにいじめを受けている状況が変わらなければ、十一日土曜日に学校で自殺をするという内容でございました。いじめが原因で自殺をする、生きていくのがつらい、教育委員会や学校、先生は何もしてくれなかったという趣旨のものでございました。
 私ども、この手紙を受けまして、大臣の強い御指示ございまして、内容についてこれを公表して、本当に心当たりの学校、教育委員会でこの問題について対応していただきたいということで、深夜にわたりましたけれども会見をし、また火曜日には大臣の方から、命を大切にしてほしいと、みんなでこの問題に対応するからということを会見でお話をしていただいたところでございます。
 なお、現在までのところ、各該当する「豊」という字のある郵便局関係の市町村等で学校まできちんと下ろしまして調査をいたしておりますけれども、手紙の内容に該当するような事案についてはまだ見付かっていないという状況でございます。

■中川義雄 この手紙のといいますか、この文書の内容を私も手に入れることができましたが、これを見てびっくりしたのは、あの滝川市で起きた際のあの女の子のあの遺書に文章の似ていることにびっくりしたんです、きもい、私がそんなに汚いんですかとか、チクりというようなことをも。ですから、こういう話というのは非常に遠いところまで飛ぶんだな、あっという間に、それに影響を受けてこんなことになったのかどうかは知りませんが、子供の心というのはどっかで大きなつながりみたいのがあるのかなと、こう感じておるわけであります。
 私は、伊吹大臣がこの問題や未履修問題について的確、本当に敏速に対応していただいていることを尊敬しているわけでありますが、まずこの問題、この手紙の問題に大臣はどう取り組むつもりなのか、十一日もうすぐ、明日、あさってでありますから、こんなことでまた命が失われないように祈るだけでございますが、大臣の気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

■国務大臣(伊吹文明文部科学大臣) 私のこの遺書を受け、遺書といいますか、この自殺予告の文書を受け取ったときの気持ちを率直に申し上げますと、先生が今いみじくもおっしゃいましたように、北海道の事案の言葉を大変使っておりますね。それから同時に、なぜ自分の、パンツと書いてあったですか、ズボンと書いてあって、を下げるんですかと、これも福岡の事案と非常によく似たことが書いてあります。で、教育委員会、校長、学校という言葉も使っておって、かなり教育行政の流れを知っているという印象を受けましたので、率直にいって、いろんな可能性があるんじゃないかということは私自身分かった上で、しかし万一このことが子供の悲痛な叫びであれば、これはもう命を最優先しなければならないということで先ほど参考人が申し上げたような措置をとらせました。
 そして、水曜日までに何事も起こらねば、今日、今委員が御指摘になりましたように、明日、十一日にと、こう書いてございます。
 テレビ、新聞報道等マスコミも私の気持ちを酌んでくれて、すぐに対応して報道してくれました。そして、東京都の教育長も呼び掛けを、昨日ですか、おとといですか、してくれましたので、水曜日までに何事もなければというその言葉に対して、移っていく現実の推移をこの書いた人が眺めてくれていれば、何事もないわけではなかったわけでございますので、そしてその後、各「豊」という字の付く教育委員会、特に「豊」の後がどうも専門家の鑑定では「島」じゃないかというのが多うございましたので、集配局で「島」の付くところは豊島区だけでしたから、ここは重点的に都教委と区教委にお願いをして、今に、だから、校長先生に話したのに、教育委員会に話したのに、担任の先生に話したのにと書いてありますのでね、教育委員会にそういう事実があったのか、校長先生にそういう事実があったのか、担任の教師には、校長からそういうことを相談を受けた教師がいたのかと、これを一つ一つ当たってもらったんですが、今のところそういう事例があったという報告には接しておりません。
 今はこれだけのことをテレビ、新聞等も協力してくれてやりましたので、祈るような気持ちでおりますが、今までのところ該当するような事案は見付かっていないというのが正直なところでございます。
 
■中川義雄 文書の数まで七通ということですから、全くそっくりだなというような気がしてなりませんが、ですから、これが単なる嫌がらせみたいな話、また文部行政に対する一つの批判みたいな話で終わってくれれば大臣も前向きな行動が取れると思いまして、十一日が無事終わっていただきたいと、私も祈るような気持ちであります。
 ここで、高等学校の必修科目の未履修問題について質問させていただきます。
 この問題、随分長い間こういうことが行われていたように聞いておりますが、これが今日まで明らかにならなかったその理由としては、ちょっとしたら高等学校や、特に都道府県、また都道府県当局、私学は都道府県当局が担当していますから、そういったところがこれを隠していたという隠ぺい体質にあったのではなかろうかと。
 そしてまた、昨日、昨夕テレビを見ていましたら、センター試験の結果で文部当局もこの実態を知っていたんではなかろうかというようなニュースといいますか、話を聞きまして、じゃ文部当局もこれを隠ぺいしていたのかということも、私は地方の教育行政にタッチしている人たちの責任が重いなと思っていたんですけれども、これを知っていて文部当局も隠していたとしたら、これも大きな問題だと思いますので、その点について明らかにしていただきたいと思います。

■政府参考人 (銭谷眞美文部科学省初等中等教育局長) 高等学校の必修科目の未履修の問題に対して、本日の報道等によりまして、文部科学省もその研究者グループの報告を知っていたのではないかという報道がございました。
 この報告書は、大学生の学習意欲についての調査研究の報告書のようでございますけれども、学部の選択基準とか専門分野への適応度とか職業観など多岐にわたった調査のようでございまして、その中で高校での履修に関しての質問も入っていたということのようでございます。
 担当部局におきまして、これは高等教育局になりますけれども、当時の事情を確認をしたところ、報告書に必修科目の未履修に関するデータが含まれていることに問題意識が至らず、これを見逃して高等学校の担当でございます私どもの初等中等教育局への連絡が行われていなかったということが判明をいたしておりまして、省内できちんと連絡体制が取れていなかったということについて私ども反省をしているところでございます。ただ、私どもとしてはそのことは承知をしていなかったということでございます。
 それからもう一つ、高等学校の未履修問題につきましては、過去に四県で未履修の事実が明らかになってございます。熊本県、長崎県、広島県、兵庫県でございました、平成十一年から十三年にかけてのことでございましたけれども。これにつきましては、それぞれの県におきまして、県の教育委員会として対応して問題を是正をしているということでございます。
 文部科学省に報告ございましたので、私どもとしては、それぞれの県の問題、その県特有の問題だという認識ではあったわけでございますけれども、全国の指導主事が集まる会議におきまして、その県でこういう事例があったということを紹介をして各県に注意を促し、指導してきたという経緯がございます。それは何回かその全国の指導主事会では実施をいたしております。
 ただ、そのときに実態調査の全国的なものを私ども掛けなかったというのも、これも事実でございまして、その意味で私ども感度が少し、余り良くなかったということも事実でございますし、それから、今回全国の実態調査をしましたところ、やはり学習指導要領に定められました必履修科目を履修をしていないという実態がこのように明らかになったわけでございますので、私どももその結果については責任を感じているところでございます。
 ただ、これは今後更に調査分析をしていかなければなりませんけれども、高等学校から例えば教育委員会等に教育課程の届出があるわけでございますけれども、そこはほとんどの場合が必履修科目を履修しているというような届出になっているということもだんだん分かってまいりました。
 ですから、その都道府県の中におきまして、そういう教育委員会、あるいは私学の場合は知事部局になりますけれども、そこと高等学校の間のコミュニケーションといいましょうか、そこがどうであったかということを更に私ども分析をしていかなきゃいけないと、こう思っているところでございます。

■中川義雄  昨日、総理の諮問機関であります教育再生会議におきまして、この二つの事件を中心にしまして、教育の再生にどうすべきかという中で、特に教育委員会の在り方について多くの議論がなされたという報道に接しておりますが、私は、教育委員会にも大きな問題がありますが、教育行政全般についても、特に現行の教育基本法における第十条の教育行政の中身を見たら、こんなことが起きるのかなと、こう思ったりしているわけです。
 そこで、今ちょうど教育基本法の大議論が衆議院でなされると、近くは我が院にも、本院にも来ると思いますので、教育基本法の中身の十条について少しここで大臣と議論さしていただきたいと思います。
 実は今日の報道でも、山谷補佐官が九州の現地に視察に行った際、福岡県筑前町に入った際、教育委員会や学校関係者から話は聞いたが、現場の中学校で直接調査することはできなかったと、そして帰ってきたと、こういう話なんです。
 で、ここは非常に大きな問題でありまして、北海道でもいろんな教育問題がありまして、道教委の指導主事辺りが学校へ訪問して学校の実態を調査しようとするときに、ほとんどどこの学校でも入校を拒否されております。
 入校を拒否されている最大の理由というのは、教育基本法十条の教育行政の項でありまして、その前項では、教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきものであるという非常に抽象的な書き方でありまして、だれがどのような不当なあれを掛けるのか、その辺が明らかにされておりません。しかし、第二項を読むと何か明らかになってくるんです。第二項では、教育行政は、前項の、この自覚の下に、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければなりませんと、こういうわけです。
 ですから、よく北海道で聞かされたのは、学校で子供たちに、幼い子供たちに先生が、教育は不当な支配を受けてはいけないんだと。教育は皆さんと教育者なる私のこの高い次元での教育が一番大事で、だれからの支配も受けたら駄目だ、教育委員会というのは、あそこに窓ガラスが割れている、あれを入れるのが教育委員会の役割で、そういう話をされている先生が多かった。
 ですから、おまえは不当な支配をするために学校へ入るんだろうから入校を拒否、したら駄目だと。その流れをくんで、山谷補佐官、御承知のように我々の仲間の国会議員であります、国会議員ですから、当然国政調査権に基づいていろんなことをできる立場にありますし、何といったって総理の特別補佐官でもありますから、教育の現場へ行って実態を調べたいと言ったけど拒否されたということは私は重大なことだと思うんです。この教育基本法がこうある限り、あの山谷先生でさえ入校できなくて済んできた。ですから、この問題は教育基本法までさかのぼっていろいろ考えなければならない問題だと、こう思っております。
 そしてまた、教育委員会というのは非常に民主的な行政委員会と、こう称されていますが、これは全く中途半端な組織ではなかろうかと。教育の現場の学校に対しては条件整備だと、だから学校を建てたり、汚れたり破損した場合は教育委員会がやるべきだと、教育の中身は、我々先生と子供たちで共同で教育の中身はやっていきたいと。そしてまた、その教育委員会はまた独立の行政委員会といっても財政に対する権限は全然ない。予算は首長が、首長の権限に基づいて議会が決定するという形を取っておりますから、予算をつくる権限もなく、教育の中身についてしっかり精査して、指導主事などという制度があってもそれが機能できないというのであれば、私は教育委員会というのは本当に中途半端な存在であると。
 ですから、教育委員会、この教育基本法の見直しと同時にこの条項もしっかり見直さなければならないと思っていますが、と同時に、教育行政の在り方についても我々しっかり議論しなければ、こういう不幸な事件が次から次に出ると。そして、大臣も、重ねて言いますが、国の責任というのも隔靴掻痒、なかなかこういう法体系の下では大変困難な問題もあると。私もそのとおりだと思いますんで、再度大臣の、この点について、教育行政の在り方がこれでいいのか、そして、都道府県、また市町村の教育委員会がこのままでいいのかということも含めて、再生会議でも議論されているようですから、大臣の見解をお伺いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。

■国務大臣(伊吹文明文部科学大臣) 大変広範なお尋ねがありましたが、今回の未履修の問題あるいはいじめの問題等で現れてきた大きな視点は二つあると思いますが、一つは、例えば高等学校の本来の教育の目的と大学入試の関係、つまりこれは指導要領その他のことになると思います。ここは一つ大きな問題でございますが、同時に、文部科学省で基本的な方針をお示しした場合に、それを県の、道の教育委員会あるいは市町村の教育委員会、そして学校というこの一連の流れの中でどのように伝えていって、そして一番大切なことはお互いの権限の問題ではなくて預かっている子供を立派に教育するということなんですから、そこの流れがうまくできているのかというのが先生の御指摘だと思います。
 現行の教育基本法の不当な支配に服することなくということは、これは当時の田中耕太郎先生などの解説文を読んでみますと、特定の政治勢力の介入その他を排除するということをどうも念頭に置いてこれをお作りになっていたようでございます。ですから、少なくとも国会は国権の最高機関でございますので、ここで議決をされた法律に基づいた政令、告示によって県の、道の教育委員会が市町村の教育委員会に指導、指示をする、あるいは市町村の教育委員会が当該学校にいろいろな指導、指示をするということは、やはり私は不当な支配には入らないだろうと。国会で決めた流れの中でやっていただけないんならば、国権の最高機関としての国会のかなえの軽重が問われる、あるいは我が国の民主主義の仕組み、システムそのものを否定することになります。
 このことについては、司法の場で幾つかの事案について争われていることは先生御承知のとおりで、北海道の旭川の事案については御承知のような判決が出ていると。今回の教育基本法の改正法案では、その点だけはやはり国会の権威のために、我が国の民主主義のために法治国家としての原則だけを書いたと、政府案はですね、という構成になっております。
 そして、それを実際動かしていく行政は、やはりこれは予算権と人事権と、それから指示命令権と、この三つが組み合わされて実は政策というものは担保されていくわけです。ということからしますと、まず国との関係でいいますと、特に平成十一年の地方分権法、一括法で、教育長の指示権を国から取りましたね。それと同時に、国がこうと法律で決めていることがない、やってもらえなかった場合の改善措置命令権を教育委員会の法律から外して一般の地方自治法の中へ移してしまった、一般法の中へ移してしまったという二つのことがありますので、国は現在のところは指導をし、そして助言をしという権限。あえて指示権があるとすれば、都道府県教育委員会が市町村教育委員会に指導する、あるいは助言する内容について指示することができるということが書いてあります。今度は、それを受けた都道府県の教育委員会は、これは市町村予算の編成権はありません。しかし、市町村の教諭の人事権は持っておるという形になっております。
 実際、それじゃ下りていった、例えば旭川なら旭川の市の教育委員会はどういう権限を持っているかというと、自分たちの小さな範囲の予算編成権、しかしそれも道と国からの、例えば国でいえば、義務教育国庫負担金の三分の一をお渡しするというものの中での予算編成権しか持っておりませんし、人事権はございません。
 そういう状況でやっておるわけでございますので、いろいろな方法の、方向の改革案があると思います。民主党さんは民主党さんのお考えでひとつ改革案を出しておられますし、政治的中立等を考えると、それはどうも政府案としては余り賛成できないという形の我々の改革案を基本法の中に書いておりますし、この辺りは教育基本法の議論と併せて、最終的にはこの教育委員会にかかわる法律を国会で御審議をいただく場合に是非重点的に考えていただきたい分野だと思いますし。
 先生がもう一つ御指摘になっているような私学については、これはもう全く都道府県知事に任されているわけですが、都道府県知事の中で指導主事を置いて今回のカリキュラム編成まできちっと見ている県が一体幾つあるだろうかと。私学助成のお金のことばかりでどうもやっておるような気も私いたしますから、これはもう与野党を含めて、子供のためにやっぱり少し真剣にこの教育の行政の流れは考えて私はいただきたいと思っております。

■中川義雄  終わりましたが、全くそのとおりでございまして、特に都道府県が私学助成にやっていること、私も長年道議会議員として北海道の実態を見させていただきましたが、子供たちの中身の話は全然、ただ、どれだけの助成金をもらうかもらわないかだけの話合いだけでほとんど議論されている。教育という立場からほとんど行われていないというのが実態でありまして、これも我々この議会で真剣に議論をしなければならないと思いながら、筆頭理事の指令で四十分そこそこで終われという話なものですから、終わらせていただきます。