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中川義雄 自民党の中川義雄であります。
今日は、最初に、何でこの常識的な法律が今日までできていなかったのか、なぜこんな大切なことが長い間すき間としてこの国に存在したのかということから先にちょっと皆さん方の御意見をお聞きしたいと、こう思っておるわけです。
御承知のように、十三日のとき、与党三党と野党の第一党である民主党の間でこの問題について基本的な合意が達成したと。翌日のあの新聞報道を見て、私もそうでしたが、本当に良かったというそういう気持ちがにじみ出ていたわけです。
考えてみますと、この有事法制が福田内閣で取り上げて以来、この問題が問題になると、野党の皆さん方もそしてまたマスコミの皆さん方も、また戦争を仕掛けているとか、そういうふうな反戦的な考え方一本で大きなキャンペーンがしかれて今日まで来たことは事実なんです。しかし、それが今回は正にがらっと変わって、衆議院では九〇%以上の国会議員の同意を得て成立したというのは、私自身本当に今昔の感といいますか、しているわけであります。
主なその翌日の十四日に載った主要な新聞の社説を見ましても、「よき前例として歓迎する」、この前例というのは、野党第一党もこういう基本的な問題に意見を述べて、そしてまとまった、このことはすばらしいことだという見出しになっているわけですが、その中で、国が外国からの攻撃を受けるなど、非常事態を迎えたとき、どのように対処するかを定める重要法案成立にめどが付いたということも何となくこの社説の中でほっとした雰囲気が出ているわけであります。これも私の気持ちと本当に同じだなと、こう思っているわけです。
そしてまた、このすき間を埋める合意、これもまたある有力新聞の社説の見出しですが、国家としてのすき間、空白を埋める合意であると。そしてその中で、これも当然のことですが、国の安全と国民の生命、財産を守るための法案は、党利党略の具にすることなく、与野党の垣根を超え、より多くの政党の合意で成立することが望ましいんだと、今回はそのようになったという形で歓迎しているわけであります。
また、これも有力紙の社説ですが、その見出しは「有事法案めぐる与野党合意を歓迎する」と。そして、その論点の第一に、有事法案のような国政の基本にかかわる重要法案が野党第一党の合意を得て成立する、このことは画期的なことなんだという形で非常に歓迎されているわけです。
私は、本当にこんな大事な法律が戦後五十数年間そのままに放置されていたということについては、何となく良かったなとほっと思うと同時に、なぜこんな事態をこのままずっと続けてきたのかなということで、まず最初に、官房長官おりませんので、内閣としての、こんな基本的な法制度が先進国と言われている国の中で存在しない国があるのかどうか、まず明らかにしていただきたいと思います。
政府参考人(増田好平内閣官房内閣審議官)
お答えいたします。
いわゆる先進諸国におきましては、それぞれの国の事情に応じまして内容等に差はあるとは思いますが、有事に対処するための法制は基本的に整備されているものと承知をしております。
中川義雄
基本的に整備されているということですから、当然そういうことだと思うんです。
問題は、今日まで、戦後から今日まで、自衛隊は存在したが、国の安全を守るための基本的な法制が整理されていなくて、そのために自衛隊はいざというとき本当に有用に活用できたかできなかったかということが非常に大事なわけでありまして、そんなことが今日まで放置されていた、それでは、政府としての要因、こんな大事な
法律が今日まで放置されていた要因についてどのように見解として持っているのか、お伺いしたいと思います。
政府参考人(増田好平内閣官房内閣審議官) お答えいたします。
事務方から御答弁するには大変難しい御質問でございましてあれでございますけれども、いろいろなもちろん諸事情があったとは存じますけれども、一言で言ってしまえば、要するに、このような法制を整備しようという国民的な合意が得られる環境にはなかったというのが今日まで整備に至らなかった大きな要因ではないかなというふうに思っているところでございます。
中川義雄
その程度の答弁というのは全く、立場が立場だから仕方がないのかもしれません。本当は官房長官その他に聞きたかったんですけれども、今大事な行事に参加している、ここにいませんから、まあ、石破長官については後からゆっくりまだまだ見解を聞かしていただきたい。
私は、その要因というのはいろいろあるが、私は一番の要因というのはあの敗戦だと思うんです。あの敗戦で世界で初めて、地球上初めて原子爆弾が落とされた、あの悲惨な結果。そしてまた、焼夷爆弾その他、私の田舎などというのは五十戸足らずの集落で、私は小学校二年のとき終戦を迎えたんですが、あんなところまで機銃掃射が来て私も防空ごうの上から親に怒られて引きずり込まれた、そんな経験を持っております。正に、それはそれは悲惨な結果だった。その反動として、厭戦というか戦争を嫌うという気持ち、これはもう世界で最も日本人の心の中に刻み込まれた。ですから、反戦という言葉が出ると、もうだれもがほとんどそれについていくという、そういうことがあったと、こう思うわけであります。
そして、これは私の考えですが、それが今日までずっと続いたのは、何といっても敗戦、占領下に憲法が新設されました。その憲法に、武力の行使は国際紛争を解決する手段として永久にこれを放棄する、そのため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない、明確にそううたっているわけですから、自衛隊そのものに対する国民、多くの国民の疑問というものが当然あった。ですから、これは日本国憲法の存在というものも、これは大きく今日までこのばかげた状態に置いた大きな要因だと思うわけであります。
私は、この憲法の中で一番矛盾しているのは、この第九条と基本的人権の中の第十三条の生存権の問題。生存権を明らかに最も基本的な権利として国民にそれを保障し、訴えているわけです。そうすると、当然のこととして、この国が武力攻撃、侵略され、武力攻撃を受けたら、一番国民が生存権、命そのものにかかわるそんな大きな問題になるのに、一方ではそれを保障しておきながら、一方では一切の戦力を持たない、こんな矛盾した憲法というものが今日まで存在していたことが非常に大きな問題である。
私は、持論からいうと、この生存権というのは、これは憲法やいろんな問題で制約されるものでなくて、人間だったらだれもが生きるための権利というのが最も尊重されなければならないし、国家たるものはそれを保障することが当然、法律上の論争の前にそれは当然のことだから、この憲法第九条というのは、そもそも間違い、矛盾したそういう法律である、法制度であると。私は、生存権が基本的に保障されるならば、当然国家としてそれを守るための自衛権というものは、だれもが侵すことのない基本的な権利であると思っております。
そのことについての法制局としての基本的な考え方を示していただきたいと思うんです。
政府参考人(宮崎礼壹内閣法制局第一部長) お答えいたします。
憲法九条が独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではないと、ものとは解されないということは、いわゆる砂川事件におきます最高裁判決においても明らかにされているところでありまして、政府といたしましても、この自衛権の行使を裏付ける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、もとより同条の禁ずるところではないと。
これにつきましては、今御指摘の憲法十三条の存在ということも併せて踏まえて考えると、憲法九条の解釈といたしまして、この自衛権の行使を裏付ける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、もとより第九条の禁ずるところではないだろう。そしてまた、同条第二項が保持を禁止しております戦力というのは、このように考えてまいりますと、このような自衛のための必要最小限度を超える実力を指すものであって、自衛隊はこの必要最小限度の範囲内での実力組織として設置されておるものでありますから、同項に言う戦力に当たらないというふうに従来、政府としては解してきているところでございます。
中川義雄 戦力であるかないかという今の答弁というのは法理論上成り立つかもしれませんが、一般の国民は、自衛隊は戦力を持っていないと言われてもちょっと理解しにくい。私も、素朴に言うと、あれだけの、五兆円も毎年予算をつぎ込んでいるあれだけの巨大なパワー、これが戦力でないという今明快な答弁がありますが、これは政府の統一見解でそうなっていますからそれ以上言えないと思いますが、本当に分かりにくいことであるということだけは指摘させていただきます。
ちなみに、戦力というのはどういう言葉であるかというと、広辞苑その他の辞典で、私ももう頭がおかしくなったんじゃないかと思って、常識的に戦力という意味は一体日本の国語として、言葉としてどういうふうに書いているのかということで広辞苑その他、十数種類の辞書を調べてみたんですけれども、大体言っているのは、戦力とは、兵力のほか兵器の生産力や物資の輸送力などを含めて戦争を遂行し得る能力と、こう書いてありまして、自衛隊がそれに当たらないとしたら、これ大体自衛隊というのは一体国民の常識から見てどんな存在であったか。
私が言いたいのは、そんな無理した解釈をせざるを得ないというのが、この憲法の九条そのものが自然権としての存在の在り方からいって矛盾しているから、それを無理して言った結果がそんな言葉になってきているんだと。私はそれは、ここにもまた本当はもっと、官房長官だとか総理がいたら総理の明快な考え方を聞きたかったんですが、まあ今日はこの辺でやめさせていただきます。
もう一つ、私は、分かりにくいのは、個別的自衛権はあるが、集団的自衛権はあるが行使しないという話であります。これ、もうちょっと具体的に。個別的自衛権は今あなたの答弁で大体分かりました、あるということは。集団的自衛権は存在するが、しかし行使は許されないと、こう言うんです。これ、どういうことなんでしょう。あるが行使は許されない、固有の権利として持っているがその行使は許されないというのは難しい話ですが、これはどういうことなんでしょうか。
政府参考人(宮崎礼壹内閣法制局第一部長) お答えします。
これも再々お尋ねがあるところでございますが、国際法上の問題と我が国内法、憲法を中心といたします国内法上の問題をやはり分けて考える必要があると存じます。
国際法上は、国連憲章第五十条、五十一条におきまして、各加盟国は個別的、集団的な自衛権を有するという意味のことが規定されておりまして、各加盟国は集団的自衛権を持っているということを、その主張する権利があるというふうに認められているわけでありますけれども、各国が国内法におきましてそれをそのとおり全部行使することにするかどうかということは、各国のまたそれは自主的な判断であるということであろうと思います。
その上で、るる答弁がありますように、現在の憲法第九条は、第一項で戦争を放棄し、第二項で戦力を放棄するというふうに徹底した平和主義を取っておりますので、これの解釈の範囲内では、直接自国が武力攻撃を受けていない場合に、それにもかかわらず、自国と密接な関係にある他国に対する攻撃を武力をもって排除すると、こういう権利は我が国は行使しないという、そういう立法上の政策を取ったわけでございますので、そこは国際法上そういうことを主張することは認められているけれども、我が国としてはそういう権利は言わば放棄するということは、これは別の次元のことであって、特に矛盾だとかおかしいということはないというふうに考えております。
中川義雄 この点になるとますます分からなくなってきて、行使できるからこそ権利であって、行使できない権利なんというのは、国際法上か何か分かりませんが、私はそんな条約上の問題だとかなんか言っているんじゃなくて、生存権として考えたときに、国として国民の生存権を確保することが最も基本的な課題だったら、一国でできる場合は一国でやればいい、しかし他国と共同でやる場合は堂々と共同でしたって何も憲法上の問題が発生しないと思うが、個別的な自衛権についてはそれは行使できるが集団的自衛権については行使できないとするこの政府解釈、もうこれ以上言っても仕方ありません、これは正式な解釈でありますから。
ただ、そういう立場に立って、防衛庁長官としては非常に本当に難しいいろんな制約を受けていると思いますから、これはいい悪いは別じゃなくて、防衛庁長官として率直なこの問題についての見解だけは、これはもちろん国務大臣ですから政府統一見解に反した話はできないことを百も承知な上で、大変言いづらい問題があるなとか、率直な考え方がもしあれば。
国務大臣(石破茂防衛庁長官) 先生からおっしゃっていただきましたように、現在の政府の解釈に閣僚の一員である以上従うのは当然のことでございます。
その上で申し上げますと、なぜ駄目なのか、集団的自衛権というものを行使しないではなくて、できないということを言っておるかというと、それが自衛の最小限度を超えるからできないのだというロジックを使っておるはずでございます。
以前、もう随分昔のことでございますが、それではその最小限の自衛の範囲を超えない集団的自衛権という概念はあり得るのかと、こういう議論がございました。たしか公明党の委員、ある委員から、もう十何年も前、二十年以上前になるかもしれません、そういう御提起がありまして、当時の法制局との間に何だか非常に擦れ違った不思議な答弁が交わされて、それは議事録修正もないまま今日まで至っておるわけでございます。
で、概念的にどうなのかという整理、これを国会の場においていろんな御議論がこれから先なされるのだろうと思っております。そして、世の中には自衛の名をかりて、集団的自衛の名をかりて侵略戦争という例がなかったわけでは決してございません。自衛権の行使だと言いながら、結果としてこれが侵略戦争になったという例が決してないわけではございません。その辺を我々の国としてどのように考えるのだろうかという議論が、論理的な範囲において、そしてまた我が国は決して侵略戦争はしてはならないという意味において、そして我が国の平和と独立、国民の生命、財産を守るためにはどうしたらいいんだろうかという三つの観点において、国会でこれから多くの議論がなされるというふうに思っておる次第でございます。
中川義雄 長官の話、本当ぎりぎりの長官のお話だったと思いますが、やっぱり国務大臣として、内閣の統一見解、それがある限り、また憲法の遵守規定がある限り、おのずと限度がある発言だと思っております。
そこで、だからこそ、私は、はっきり言えることは、いろんな今自衛隊の行動についていろいろ議論しているが、言わば専守防衛、絶対侵略はしないんだという自衛隊ですから、その行動の範囲というのはおのずとほとんどが領土内に制限されていると、こう思いますが、いかがなものでしょうか。
国務大臣(石破茂防衛庁長官) おっしゃるとおりだと思います。一般的に、もちろん公空、公海にも及び得ることでございますけれども、先生が御指摘のことは、一般的にはそういうことなんだろうというふうに考えております。
専守防衛と言います限りは、それは我が国の領土、領空に決して限られるというものではございません。公海、公空にも及び得るものでございます。それが自衛権の行使の三要件を充足した場合に、これは参議院で主に御議論があることでございますが、自衛権の三要件を充足した場合に、非常に考えにくい例ではあるけれども、それ以外の地域においてそういう事態があり得るかという御議論が交わされておるものと承知をいたしております。
中川義雄 そこで、問題は、我が国土内で自衛隊が自衛権を行使するとき、そのための具体的なルール、これが今日まで存在していなかった。だから、戦車が道路を利用するときだとか、国民を緊急に避難させるときの土地の占有の問題だとか、そこには現行法制上の網の目が掛かっていって、なかなかいざというときには自衛隊がその能力を十分に発揮し得なかったということは、本当によくもう今日までこのまま放置してきたのだと。
しかも、我々政治家としても一国民としても、毎年、その能力を十分発揮できないのに自衛隊のために五兆円からの貴重な税金を使っていた。これは全部無駄だとは言いませんが、しかしそれだけの税金を使っていた割には、これからは良くなるんですけれども、これまではその効果というものに対しては非常に限界があったと思うんですが、その点、長官の考え方を示していただきたいと思います。
国務大臣(石破茂防衛庁長官) それは、おっしゃることはそうなのだと私は思います。それは、自衛隊がサボっておるとか装備がいい加減だとか、そういうことを委員はおっしゃっておられるわけではもちろんありません。もう隊員たちは、みんな服務の宣誓をして、事に臨んでは危険を顧みずという宣誓をし、そしてまた自衛隊の装備も、限られた予算、開発費の中で最もいいものというものを作るように努力もいたしてまいりました。しかし、そういうような隊員をそろえ、そしてまた装備をそろえても、それが動けるだけの国内法制がなければ、本当にそれで納税者に対して責任を果たしてきたのかという問い掛けに対しては、私どもは、それは極めて不十分でございましたということを申し上げざるを得ないのだろうと思っております。
今回、一分類、二分類、昔でいいます一分類、二分類、自衛隊にかかわる法制、そしてまた他省庁にかかわる法制というものは、整備が今、参議院において御審議中でございますけれども、それができますと、少なくとも自衛隊が動く場合のいろんな制限というものがなくなってくる、それで初めて隊員もそして装備も生きるということでございまして、今までそういうことが整備をされてこなかったということは、極めて納税者の皆様方に対しましてある意味じくじたるものを感じざるを得ないということだと思っております。
中川義雄 もうこれは長官が言うように、自衛隊の責任でももちろんありません。一番の責任は我々国政に参画している者がきちっとした法律を作っていなかった、この責任が今一番問われることだと私は思っています。
そういった意味で、では今回の武力攻撃事態等のこの法案ですね、三法案。私は、この特別委員も事態特とかという名前で呼んでいますが、ほとんどの新聞は有事法制有事法制と書いてあるわけです。攻撃事態、要するに敵国から攻撃された事態というだけに限定しないで、有事があった場合の法律だと、こういうふうにいるわけです。
問題は、今回の法案を見ますと、テロだとかそれこそ拉致だとかゲリラだとか、それからまた不審船、いろんなことが次から次、きな臭い話が我が国の周辺で現実として起こされておりますし、あの拉致などというものは間違いなく北朝鮮の主権者が、権力者がその権力の行使の一環としてやっていたという事実も明らかになってきております。
私は、有事法制の中で、災害だとかこういった国民の危険があった場合、そのとき、強力な能力を持っている自衛隊がその場合どのような役割を果たすかということも、自衛隊ばかりじゃありません、国の機関挙げて、警察からすべてそのために対処しなければならないという、思っているんですけれども、今回の法律では第四章で、しかも第二十五条で、これ読んでいると時間がなくなりますから、何となく頼りのないことだけ書いていることだけは事実であります。
そこで、この法案の中で一番欠けているこういった問題について、自衛隊を中心にしてどのような体制でこれからやっていくかということも我々国政に参画している者としても重大な関心を持っていかぬとならないと思いますので、その点に絞ってこれから議論させていただきたいと思います。
よく野戦病院という言葉を耳にするんですけれども、これは防衛当局で結構ですから、野戦病院というのはどういうものを指して野戦病院というのか、教えていただきたいと思います。
政府参考人(西川徹矢防衛庁運用局長) お答えいたします。
いわゆる野戦病院と申しますのは、一般に、戦闘地域で発生した傷病者に対し外科あるいは内科等の診療を行うために臨時に開設する仮設的な施設と、こういうふうに定義付けておりまして、こういう理解の下にやっております。
自衛隊におきましては、各戦闘部隊あるいは師団、旅団あるいは方面隊などそれぞれのレベルがございまして、各レベルにおいて衛生部隊がおります。これらの人たちが中心になりまして救急処置や応急治療あるいは専門治療等を野外で行い得る機能、こういうものを持っているところでございます。こういうものを野戦病院という格好で呼んでおります。
中川義雄 野戦病院がそういう戦闘状況にあるというのか、それは自衛隊が持っている機能としてそのことは分かるんですが、これが例えば阪神・淡路のあの大災害のようなときに、もうあらゆる機能が麻痺状態に起きてきたんです。その中で一番大切なのはやっぱり、国政上一番大きな課題は、まず人の命を守ることが最大の務めだと思うんです。あのときも病院その他が壊滅的な被害を受けていた。もし自衛隊の持っている医療機能、これが活用できたらなあという国民の声も多かったと思うんです。まあできたできないかは、後からいろんな問題があると思いますが、あの法律上の問題ではなかなかそう簡単にできなかったと思いますが。
自衛隊の持っているこういった人の命を救う機能といったものを、やはり災害だとかテロだとかゲリラによる大変な問題が起きたときに、それをなるべく迅速に使いたいというのが国民の素朴な声だと思いますが、今それにこたえられるような体制になっているのかないのか、それお聞かせいただきたいと思うんです。
政府参考人(西川徹矢防衛庁運用局長) 非常に広範な分野に及びますが、先生、まず先ほどの野戦病院の関係、医療衛生関係でございますけれども、これもいざといった場合に、我々はそういう人命の、災害等での人命の救助の場合に使わせていただくこともあると。ただ、残念ながらといいますか、数的にも、この野戦病院では一応は野外の手術システムという形である程度応急的な手術まではできるというところまでございますが、全国に今のところ十六セットという格好で、ある程度、数に限りがあるというのもこれ現実で、これは先生御指摘の阪神・淡路のときにどれだけやれたのかという話も、そのときはまだ十分には使っておりませんでしたが、量的な問題が少し残るかなという感じがいたします。我々としては、持てる力最大限使っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
それから、先生、もっと広い意味の災害等の場合に、いざ部隊がどう使われるか、いざ行ったら使えるような体制になっているのかと、こういう御指摘でございます。これにつきましては、特に災害に中心にお話を申し上げますと、現在、結論的に申しますと、全国で二千七百名の緊急用の人員が待機しております。二十四時間体制で、一時間以内に自隊を出れるというものでございます。約四百数両の自動車を、それも待機という格好で持っておりまして、そのほかにヘリコプターが二十数機という形で、これは、そこの基地から被災地までというのはちょっとこれ、場合によって時間が、距離が差がございますので、個別差がございますので、直ちにはそれは何時間で行けるとは言えませんが、とにかく一時間以内には部隊はもう既に相当の形で出ていけるという体制を全国的に持っているところでございます。
以上でございます。
中川義雄 その体制があることは分かりました。いいことだと思う。
ただ、私の聞きたかったのは、現行法制上、医療法その他の問題で、自衛隊の要員が、すばらしい能力を持った要員が行って、手術などという必要もありますが、しかし注射を打つとかいろんな行為があるんだと思いますが、現行法制上、それが自衛隊一人の判断でできるのか。これは別な行政機関が許可しなければできない、そういうジレンマがあるんではないか。我々国政に参加する者がそれをどうやって国民にそういったサービスを、つまらない法的な制限をなくして自衛隊の能力を開放するというのも非常に大事だと思うんで、そういう法的な制約はないんですか。
政府参考人
(西川徹矢防衛庁運用局長) 原則といたしまして、例の阪神・淡路大震災のときにはやはりそういう点が問題でございまして、あの場合には、二月以降、特別に法律を作っていただきまして対処できるようになったんでございますが、今回のいわゆる法制、有事法制といいますか、三法案の改正が行われました後は、今度はしっかりした、そういう医療法等の適用が除外されますので、これから先はできる、法律が成立した暁にはできると。今のところは、一定の自衛隊が開設した診療所は、救護所を所管の保健所長が管理者となる診療所として整理されて、その範囲に限って使われると、こういう格好で今やっております。
(次ページへ続く)
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