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国会活動/発言一覧 参議院「農林水産常任委員会」

第148回国会
2000年7月26日
雪印乳業問題について




中川義雄  自由民主党の中川義雄であります。
 今回のこの雪印の事故、私はそれを聞いて何とも言えない怒りを感じたものであります。
 御承知のように雪印乳業というのは、北海道の農業の中興の祖と言われている黒沢酉蔵先生や佐藤貢先生が、北海道の冷涼な気候の中で米などをつくっていたら北海道の将来はなくなる、気候風土が非常によく似ているデンマークなど北欧の農業、それを取り入れて、何としても北海道の農業に活力を求めたい、そのためには幾ら酪農だけを振興してもやはりその販路をしっかりとつくらなければならないということで、生産者がみずからつくった会社なんです。
 生産組合としてつくり、酪農の振興のためにつくった会社が、何かこの経過を見ていますと、そういった創業の理念から外れて、もうけることを中心にしてきている。そのためには一番大切なものまで忘れるような、手抜きするような事故ではなかったのか。そんなことを考えますと、私は、北海道ばかりでなくて、ここまで来た日本の酪農の将来を考えたときに、メーカーの社会的責任というものをしっかりこの機会に持っていただかなければならない、そう思っているわけです。
 ですから、今回のこの事故が、なぜこんなばかげた事故が起きたのか、その要因だけはしっかり押さえなければならないと思いますので、その要因を厚生省や農林省がどのようにとらえているのか、まず伺いたいと思います。

政務次官(福島豊厚生政務次官)  ただいまの中川先生の御指摘は、深く共感を覚える次第でございます。
 食品衛生行政を担当いたします厚生省としましては、今回の雪印乳業の食中毒事件につきましてはまことに遺憾であると、そのように重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
 今回の食中毒事件の原因につきましては、現在、担当の自治体であります大阪市、そしてまた大阪府警が調査中でございまして、両者の究明の結果というものを待たなければならないというふうに考えておりますけれども、現在までに大阪市から報告がありました主な問題点といいますのが、先ほども申し上げましたけれども、手洗浄で行っている逆流防止弁の分解洗浄についてその実施頻度というものが不足をしておった、そしてまた仮設ホースの洗浄というものも不足しておった、そしてさらに温度管理が行われていない極めて高温な屋外での調合作業というのも行われていた、そして品質保持期限切れのおそれがある製品の再利用もなされていた、こういうところが問題であるというふうに考えております。

政務次官(三浦一水農林水産政務次官) 食中毒事故の発生要因につきましてのお尋ねであります。
 今回の食中毒事故につきましては、現時点では雪印乳業大阪工場においてバルブやホースの洗浄不足等、本来の衛生管理がきちんと守られていなかったこと等が主な原因と指摘されております。また、今回の問題は、たとえ衛生管理マニュアルがそろっていてもそのことをきちっと守らなければないに等しいということが言えるということであります。さらに、一度事故が発生した場合の危機管理の仕方いかんによっては重大な事態を招きかねないことを教訓していると言えると考えております。
 農林水産省としましては、乳業メーカーが今後とも牛乳・乳製品の品質や安全性の確保について徹底するよう厚生省と連携をとりつつ指導してまいりたいと考えております。

中川義雄 今、厚生政務次官のお話を聞きますと、生産工程の中でバルブ等の洗浄が行き届かなかった。まさに、私はそれがなぜそんなことになってしまったのかということを考えたとき愕然としたのは、今回の発生した事故というものは、本来牛乳を一般の国民に提供すべきメーカーがほとんどまがいものをつくっていて、そのまがいものをつくる過程においてそういった事故が起きたということを聞いてびっくりしているわけです。
 ところで、大阪工場においては実際に牛乳は製造していなかったのかどうか。今回、大阪工場から出たものの中のすべてが加工乳だとかまがいものであります。牛乳はつくっていなかったのかどうか、それが肝心なんです。牛乳からは一つも事故が出ていないとしたら、なぜまがいものをつくるときに事故が出てきたのかということを我々は見ていかないとならないと思いますので、その点いかがなものでしょうか。

政府参考人(西本至厚生省生活衛生局長) 今回の雪印乳業株式会社大阪工場におきましては、ただいま御指摘ございましたように、牛乳それから低脂肪乳などの加工乳と呼んでおります、それからコーヒーなどの乳飲料、それからヨーグルトなどの発酵乳等が製造されていたということでございます。
 また、今回の食中毒事故におきましては、加工乳、乳飲料、発酵乳、この対象品目につきまして大阪市が回収命令の措置を講じているところでございます。
 原因食品につきましては、最終的には原因究明も含めて大阪市で調査中でございまして、今後の結果を待ちたいと考えているところであります。

中川義雄 このことについては、先ほど要因については生産工程のこういう過程のこういうところであったという表面的な話ですが、私はやっぱりもっと本質的なことを考えると、牛乳を牛乳として市民に提供しないで、生産工程を省略しながら、いわば、私もよく知っておりますが、加工乳などというと格好いいんですが、ほとんどは脱脂粉乳を水で溶かしてそれにバターを入れたりして適当につくっているのがそうなんです。
 今回も、その脱脂粉乳を溶解したりなんかしてそれをタンクに詰めたりするそういう過程で事故が起きたというのは表面的なもので、本来牛乳を売らないとならないメーカーが、安くて利益の大きいまがいものを、それを提供するために懸命に努力した。そんなことが、例えば雪印の宣伝文句を見ますと、「毎日骨太」などといって一般の消費者はほとんど牛乳だと思って飲んでいたのが、実は今回の事故はほとんどまがいもので起きていたということだけはきちっとやはり認識しなければならないと思うわけであります。
 ところで、今回の大阪工場はいわゆる総合衛生管理製造過程、HACCPの承認を受けた工場だと言われております。この承認を受けた工場でこういう事故が発生した。これは一般的には、HACCPの承認を得るということは、消費者が安心して、国際的にも認知されたそういう工場なわけであります。そこでまた発生したということに私は重大な関心を持っているわけですが、認可した厚生省当局としてこれを事前にチェックできなかったのか、チェックできなかったとしたらなぜなのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

政府参考人(西本至厚生省生活衛生局長) 総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPと私ども呼んでおりますが、これは御承知と思いますが、製造者がみずから定めた製造工程を自主的に管理する、こういうことによりましてより高度な安全性を確保しようとするシステムでございます。その承認の際にも、我々といたしましては申請者側に一定の信頼を置いていた、これを前提としていたというのは事実でございます。
 この総合衛生管理製造過程の承認審査におきましては、申請者から提出していただいた書類について審査をいたしまして、厚生省または都道府県等の職員が現地調査を実施するということになっております。書類審査に当たりましては、申請者が製造や加工の工程を正しく記載いたしますとともに、立ち入りを行う際にも申請者がそのことについて適切に説明するということが前提になっておるわけであります。
 しかしながら、本件の場合につきましては、厚生省が行いました書類審査の申請書類に問題のバルブあるいは仮設ホースを含むいわゆる戻し乳のラインが書かれていなかった、あるいはまた屋外における調合作業といったようなことも記載されておりませんでした。
 以上、大阪市が行いました現地調査の際にも、この点についての説明がなかったということが確認されている次第でございます。

中川義雄 その辺がちょっとわからないのでして、一般の消費者は、HACCPの承認を得ている、そこでつくられているものは安全だと信じて、そしてそのことによって信頼をしながらやっていた。それはなぜかというと、行政が介入しているから、承認は厚生省なら厚生省がしているから、行政がチェックしているから安全だという、そういう裏の中で考えていると思うんです、そういう裏表の関係で。
 しかし、それが守られていなかったのか、その工程を省略したのか、または工程に新たな手を加えたのか、それは今回の調査で明らかになっていると思うんですが、その点、何かHACCPの承認を受けたときと途中で手をかえてその変更を届けていなかったのか、届けていたが、今言ったように今回の事故はほとんどその書面に出てきた工程にないところで発生しているわけですから、それをチェックできなかったその要因について、もうちょっと明らかにしていただきたいと思うんです。

政府参考人(西本至厚生省生活衛生局長) 今回のこの戻し乳のラインあるいは屋外における調合作業等は、先ほど申し上げましたように、総合衛生管理製造過程の申請資料には記載はされておりませんでした。また、申請者からも適切な説明がなかったことが判明いたしております。この戻し乳のラインにつきまして、HACCPの一部を承認を受けずに変更したと我々は判断せざるを得ないわけでございます。したがいまして、この点で雪印乳業大阪工場のHACCPの承認を取り消させていただいた、こういうことでございます。

中川義雄 その雪印の関連企業の中で最もびっくりしたのは、この検査の過程で京都工場、神戸工場でハイファットクリームチーズ、我々は、ハイファットクリームといってバターのまがい品が流通に乗っているんじゃないか、こんなことがあってはいけないという話を随分、農林省当局その他に部会等での議論を通じて、それを押さえぬとならないとこう言っていた。それがこの雪印工場の中で発見されたというのは全くショックなんです。しかも、期限切れのものであったと、それが。そういうことを聞いたとき、そこになぜ置かれたのか、雪印としてはそれを何か利用していたと思うんですが、何に利用していたのか。
 バターまがい製品ですから、バターが在庫で困っているときにバターのまがい製品が雪印工場の中で発見されたということは、これは重大なことなので、この点について厚生省と、もし農林省にも所見があったらお聞かせいただきたいと思うんです。

政府参考人(西本至厚生省生活衛生局長) 御指摘のこのハイファットクリームチーズでございますが、今回私ども現地を調査させていただきましたその結果によりますと、雪印乳業株式会社京都工場及び神戸工場におきましては、乳飲料の「毎日骨太」の原料に使用していたということが判明いたしております。

中川義雄 農林省の見解がありましたら。

政府参考人(樋口久俊農林水産省畜産局長) ハイファットクリームチーズについてお尋ねがございましたので、私どもの現状について御説明申し上げます。
 お話ございましたように、ハイファットクリームチーズというのは、現在の関税分類ではチーズということで分類をされておりますが、私どもとしてはそうじゃないんじゃないかということでございまして、世界税関機構というところにHS委員会というのがございます。ここに、これは違う分類にすべきだということで再検討を要請しておりまして、本年の三月末の委員会では、本製品はチーズではなくてバター類似のデイリースプレッドという分類がございまして、ここにすべきであるという決定がされております。
 しかし、この判断に対して豪州側から異議の申し立てということがされておりまして、私どもとしましては、この点についての審議がされます秋の委員会に向けて、さらに私どもの主張が取り入れられるよういろんな形で努力を続けているという状況でございます。

中川義雄 今、局長のお話、後から聞こうと思ったやつを先に答えていただきましたわけで、聞きたかったのはそういうことじゃなくて、ハイファット対策じゃなくて、なぜ雪印の工場内にそれが置かれていたのか、その辺のことをきちっとしないと。いいですか、我々は再三、農林部会等で、このバターまがい品がチーズという名前で輸入されてきている、実際は使われているのはバターの類似品として使われているのではないか、そう言っていたんですよ。それをしっかり追跡して、それでそういうものをきちっと押さえて国際的な場で議論しなさいと言っていたわけですよ。
 ところが、今聞いても、骨太牛乳の中でやはりバターのかわりに入れたと思われていいわけでありまして、なぜかというと、チーズというとほとんどたんぱく質でありまして、脱粉もほとんどたんぱく質ですから、脱粉を溶かしてそれにチーズを溶かす必要がないんです。しかし、どうしても脂肪分が少ないからバターを溶かすんだけれども、バターのかわりに脂肪分としてハイファットチーズを使ったと見るのが私は正しいと思うんです。
 その点を農林省や厚生省当局がしっかりと押さえないと、例えば国際会議において、我が国ではこういうふうに使われていたということを立証しないと主張が通らないわけですから、これは調査していなかったら仕方がありませんが、これは今後ともしっかり調査をしていただきたいと思うんです。なぜそこに置かれていたのか、何のために、この使用目的は何だったのか、そういうことを明らかにすることが、私は、将来の国際問題の解決にも役立つわけですから、その点をしっかりしていただきたい、こう思うわけであります。
 また、最近の動向を見ますと、平成六、七年ごろはいわゆる牛乳というのが結構飲まれていてピークになって、この四、五年ががたがた低下しているんです。そのかわりにいわゆる発酵乳だとか、または乳飲料といったものがふえてきている。発酵乳については私はそれなりのしっかりした製品であるからいいと思うんですけれども、問題は乳飲料でありまして、これはまがい品であります。
 私自身もスーパーなどに行ってみましたが、牛乳といわゆる乳飲料とどこがどういうふうに違うのか、パックを見ただけでは、また飲んでみたってほとんどわからない。値段もほとんど同じということであります。
 そういうことで、このまがい品が最近になってずっと伸びている理由はどこにあるのか、農水省の見解を伺いたいと思うんです。

政府参考人(樋口久俊農林水産省畜産局長) 近年、牛乳・乳製品全体の消費量はほぼ横ばいでございますが、今お話のございましたような状況にございますので、その要因を少し分析してみろということでございますから、私どもが今考えているところをお話ししたいと思います。
 まず、牛乳自体の消費量は減少してきております。この要因としましては幾つかございますが、一つは、消費者の脂肪離れというのが一つ背景にあるんだろうと。それからもう一つは、いろんな飲料が供給されるようになってきております。特に最近では小型のPETボトルというものによります普及が消費を伸ばしていると考えられておりまして、例えばお茶とかそういうものまでもPETボトルで供給されているということで、ほかの飲料との競合が強くなってきている。それから三つ目が、学校の児童数が減少してきておりまして、学校給食向けの牛乳消費量の減少ということが牛乳の消費量の減少につながっているというふうに考えております。
 片方で、乳飲料とか発酵乳、これはヨーグルトなんかが中心なんですが、の消費量が増加をしてきております。この要因は、一つは、乳飲料につきましては先ほどの脂肪離れの逆でございますが、低脂肪のタイプとか、今回いろんな形で話題になっておりますカルシウム等の機能強化をしたもの、そういうタイプのもの、これらなど、健康志向を背景にそういうものを踏まえた商品が消費を伸ばしてきているということでございます。
 また発酵乳、これは先ほど言いましたようにヨーグルト等が中心でございますが、大型パックの容器に入った半固形タイプの製品というものが出回るようになってきた。それから、栄養価や効用についてたびたび人気テレビとかそういう番組で取り上げられて、それにいろんな形で消費者が流れていったということ。それから、例えばフルーツを添加するとか、いろんなさまざまな商品開発がされている。
 こういうことが乳飲料、発酵乳の増加の要因ではなかろうかと私どもとしては考えているところでございます。

中川義雄 僕は、局長、本質を見失っていると思うんですよ、それは。現象面だけで言っているんです。メーカーも同じことを言っている。あなたの言っているのを聞いたら、メーカーが言っていることをあなたが代弁して言っているみたいなもので、いいですか。
 それでは、ちょっと明らかにしていただきたいんですが、例えばこういうまがい品、乳飲料などの生産コストを考えたとき、同じ乳飲料でも牛乳を一〇〇%使っているものと脱粉を一〇〇%使っているものとでは、一リッター当たり二十円ぐらいの製造原価に差があるというんです。いいですか。しかし、私も行ってみましたが、本当の牛乳とこのまがいものとが店頭では同じ値段で売っているんです、同じ値段。そうすると、メーカーはリッター二十円も安かったらそれを売る。これが問題なんです。そして、その売る過程において、「毎日骨太」だとかなんとかと言ってテレビで消費者がそこに向かうように向かうように宣伝し、そして低脂肪牛乳も同じです。脂肪が多いと動物性の脂肪で悪いから脂肪をのけた方がさもいいようなテレビ番組をつくったりして、盛んに利益を求めて行動したことが私はこの要因であって、その末梢の事象だけ、時点だけとらえて言っちゃいけない。
 やっぱり問題は、さっき私が言ったように、メーカーが創業の精神を忘れて利益追求主義に行ったことが私は最大の要因だと。そのことを行政当局も肝に銘じてやっていかなければ本質的な解決にならない、これは強く指摘しておきたいと思います。
 それからまた一方、量販店にも大きな責任があると思うんです。
 私も行ってみてびっくりしたんですが、横にフランス製の水か何か、水も置かれておりました。牛乳と水で、牛乳の安売りをやっていたら牛乳の方がはるかに安い。それを堂々としてお客集めに使っている量販店。どう考えてもあんな安い値段でどうして売れるのかと思われるような、これはかなり量販店がメーカーやその他に無理を言って、期限切れたら返すとか、またはそれを安く売るとか、そしてしかも返していた事実も明らかになっている。返したものですから大阪工場でもその他の工場でも、それをまたつくり直してレッテル張りかえて新しい牛乳にして出すなどという、これはまさにとんでもない、モラルなどどこかへ飛んでいったような利益追求の姿がそこに出てきているわけです。しかし、それもメーカーばかりの責任ではなくて、最近量販店が非常に強くなって、量販店が自由に返せる、そしてまた自由に安く売れる、そういうことが要因だと思われるんです。
 その点、公正取引委員会としてこの問題を重大な案件として取り上げるべきと思うんですが、正当な競争を阻害するようなそういうものは排除していかぬとならないと思いますが、公正取引委員会、どういう見解をお持ちでしょうか。

政府参考人(楢崎憲安公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) お答えいたします。
 今、二点御質問があったわけでございますけれども、第一点は牛乳の特売でございますけれども、私ども公正取引委員会といたしましては、いわゆる不当廉売につきましては周辺の小売業者に対する影響が大きいということで、苦情等が来ましたら迅速に対処するというふうな処理を行っているところでございます。
 先生御承知のように、牛乳の安売り、不当廉売の問題は、五十年代の後半ぐらいからスーパー等で非常に安売りが行われて、たくさん苦情が公正取引委員会に参ってきたわけでございますけれども、最近では従来のように安売りだと、不当廉売だという苦情は少なくなってきております。しかしながら、中小事業者に大きな影響を及ぼすということで、苦情がありましたら私どもとして迅速に処理しているところでございます。
 また、返品等の問題についても、返品が直ちに問題だということじゃございませんで、独占禁止法上の優越的地位の乱用ということに当たれば対処可能なわけでございますけれども、この優越的地位の乱用の問題については不当廉売のように苦情が来るわけじゃございませんので、公正取引委員会としても、牛乳を含め食料品あるいは衣料品等、大規模小売業者と納入業者との取引の実態がどうなっているのかどうか、優越的地位の乱用があるのかないのかという実態把握に努めているところでございまして、今後とも牛乳等も含めまして取引の公正化と不当な返品がないようにというふうな観点からも調査を行っていきたいというふうに考えております。

中川義雄 本だとかそういうものの再販と違いまして、牛乳には日付がついているんです、賞味期間という。それを知っていて量販店も購入して、だれの責任かたくさん品ぞろえして、こんなに自由に返せるんだから幾ら仕入れたっていいわけです、返せるんですから。そういう不当な取引を許しておいてはいけない。そして、しかもそれが今回の調査で明らかになったように、メーカーがそれを再利用するというような、苦し紛れだと思うんですが、再利用するというような事態が明らかになった以上は。
 それから、不当廉売については最近苦情がないと言うけれども、もう恒常化してしまったから、もうあきらめて文句も言いたくなくなったというだけの話で、それだからいいというふうなことではないと思いますので、これを契機にして公取といたしまして毅然とした態度でこの問題を扱っていただきたいと思います。
 それからもう一つは、メーカーに許せないことが、先ほどのハイファットクリームチーズと同じような問題ですが、低脂肪志向だと、こう言うわけです。ですから、従来の牛乳からバターをとって脂肪分を低めて加工乳その他で売っているわけですから、そうすると必ずバターができるわけです。
 この辺が問題で、バターをとった後の、残って、しかも加工乳を使ったやつは安いわけですから、それが安く消費者に提供されていたというんならわかるんです、メーカーもそれだけ安く消費者に提供したら。同じ値段で提供しているんです。そうするとどうなってくるかというと、必ずそこの製造過程でバターが出てくるわけです。脂を抜くわけですから、脂を抜いたらバターが出てくる。それを、メーカーは平気で出てきたバターをバター市場に繰り入れているという事実なんです。だから、バターが在庫で困っている。その大きな要因にこれもあったということが明らかなんです。
 しかも、農林省の皆さん方も知っていると思いますが、メーカーは余ってくるといろいろと生産者に注文をつけて生産者に返しているんです、バターを。北海道の酪農民で何百キロというバターをメーカーから返されて、農家は何ぼあれしても何百キロのバターを、店も持っていない何も持っていない農家に返すようなそういう不当な行動を、メーカーは生産者団体を通じてしわ寄せを生産者、農家にやっているこの事実を考えたとき、まがいものをつくるために出てきたバターぐらいは投げるか動物のえさにするか。バターとしてそれを生産者に返すような、こんな仕組みだけはやっぱり農林省の責任でこれはしっかりと排除しなければならないと思いますが、その点の考え方はいかがでしょうか。

政府参考人(樋口久俊農林水産省畜産局長) 今回、現在のところは配乳調整はうまくいっておりますが、将来の確定的な見通しは非常に難しい中で、お話しのとおり、本来、飲用に回るべきものが加工に回るという懸念はされているわけでございまして、そういうことがあった場合には生産者の皆さんに御迷惑をかけないような仕組みにしないといけない、それは念頭にあるところでございます。

中川義雄 どうも今のお話だけじゃとても納得できないんです。
 私は、やっぱり大臣、大臣のこの問題に対する、そのバターの在庫が生産者、要するに農水省としては一番大切にしなければならないのは農業者だと思うんです。農業者を守る角度から、こんなばかげたメーカーの利益追求主義によってできたこういう問題、メーカーはすぐ消費者がそう志向しているからなんて、消費者をそういうふうに誘導しているのはメーカーなんですよ。しかも、それが正しい商品だから高く、安くできているものを結構高く売っているから、メーカーは本来の牛乳をつくるよりまがい品をつくった方がいいということで売っている。そして、それが酪農民に大変なダメージを与えているんですから。
 大臣、その点について大臣の基本的な姿勢、これをぜひお聞かせいただきたいと思うんです。決意です。

国務大臣(谷洋一農林水産大臣) ただいま中川委員の方から大変詳しい地元の問題についてのお話でございますが、確かに今おっしゃることはよくわかる話なんですけれども、現実の問題として、業界がまがいものと等しいものをつくって、それで利益を確保しておるということもあろうかと思います。確かにその点については我々も理解をするところでありますけれども、現実の問題として、それをやはり厚生省と農林省が十分連絡をとりながらそういうものに対応することを考えなきゃならないと、こう思っておりますので、今最後にございました、余ったものができたら引き取り手は酪農家だということになりますと、一方的に酪農家がいじめられておるということしか言えません。
 そういうことを考えますと、いわゆる酪農家もそして消費者と直結していらっしゃる製造業者の方々もともに生きるという立場でやっていただかなければ、一方的に酪農家がいじめられたり、あるいは酪農家が、やはり利益追求のために会社がどんどん厳しいことをおっしゃっても無理でございますから、両方が相まってともに共存するという立場でやってもらわなきゃならないと、こう思いますので、そこらあたりの判断を、いましばらく厚生省と農林水産省の方で十分連絡調整をとってやらせていただきたいと、こう思っております。

中川義雄 大臣、行政的にいろんなことを考えたら難しいとか難しくないとか、そう言わざるを得ぬのはわかるんです。しかし、大臣としておれはこういうふうに考えるから、それを事務当局に指示する、指示したけれども事務当局の抵抗に遭っていろいろとあったという、そういうことがあって初めてやっぱり我が党から大臣を送ってよかったなということになるわけですから、その点の決意をぜひ明らかにしていただきたいんですけれども。
 もう一方、一言、酪農家に返品するなどというような、そういうことはもう絶対させないという決意ぐらいはここで大臣、明らかにしていただきたいんです。どうですか。

国務大臣(谷洋一農林水産大臣) 先ほどの私の話で十分私は御理解いただけたものと感じております。ですから、先ほど申し上げたとおりに、厚生省と農林水産省との連携を保って、そして業界に対しましてはっきりしたことが言えるような立場でなければ、お互いがお互いの立場を言っておるようなことではだめですから、やはり両省が話し合いをして、そして業界に厳しいことをきちっと言えると、こういう立場にしたいと思っております。

中川義雄 衛生上の問題だったら厚生省にもあるんです。これは取引上の問題ですから、厚生省は全然関係ないですよ。大臣の決意でできる話なんですよ。厚生省と協議なんかする必要ないんですよ。言っているのは、衛生上の問題を言っているわけじゃないんですから。
 バターが余る要因で、こういう不当なメーカーの姿勢が、利益追求の姿勢が、しかも脱粉脱粉といって低脂肪といって売って、それだけコストが安いわけですから、安いものを一般の市場では同じ値段で売る、それはもちろんもうけはそっちの方が多いに決まっているんですよ。それで、そのツケを酪農家に回すというのはおかしいじゃないか、そのことを言っているだけですから。これ、もう一つ大臣、決意。

国務大臣(谷洋一農林水産大臣) 私の考え方は、今、中川委員がおっしゃったのと余り変わらないと思っておるんですよ。
 というのは、厚生省の所管の考え方と農林省所管の考え方が一致しなければ、これは両方が、厚生省は厚生省だけの考えでおっしゃる、農林水産省は農林水産省だけの考えでいくと、これはなかなか話し合いが難しいと思っておりますので、そこらあたり両省で十分話し合いをして結論を出して、その方向でいこうと、こういうことは当然あってしかるべきだと思っております。

中川義雄 時間がもう来てしまいますから、これはまた別な機会で大臣ともゆっくりやらせてもらいます。ちょっと違いますよ、大臣、それは。厚生省には関係ない話ですよ。
 それは別にして、私の時間がぎりぎりに来ましたから、それでまとめて言わせていただきます。
 一つは表示の問題がある。もう行ってみても何が牛乳でどれが加工乳なんだか、私も相当詳しいと思って店へ行ってみたら、何が何だかわけがわからないわけですよ。どれが本物でどれがにせもので、全然わからない。それは表示がしっかりしていない。一番確かなのは、生乳、生の牛乳が何%この牛乳の中に入っているかという表示だけは、一〇〇%物だとか五〇%とか三〇%とか二〇%というのはきちっと表示していただきたい、せめて、これを契機に。これは公取の問題でもあるし農水省の問題でもありますから、公取と農水省がきちっと協議して、いいものを消費者にきちっとした形で売るという、この形だけはとっていただきたい。
 それからもう一つは、大臣、これ最後に大臣に聞きますが、メーカーの社会的な責任。メーカーというのは、ただつくって売ればいいというものじゃなくて、その創業、特に雪印の場合は創業の精神といったものについてもっと高い次元から大臣に指導していただきたいと思うんです。酪農の振興のために、害するようなことはしちゃだめだというようなことを大臣名でも一回アピールしていただきたい。このことについて、もう時間がありませんから、質問して私の質問は終わります。

政務次官(三浦一水農林水産政務次官) 前段の表示の問題につきまして、国産生乳の利用拡大、そしてさらに消費者への適切な情報提供を図る観点から、これを推進するという方向を決めております。
 生乳の使用割合の表示を含めた飲用牛乳等に係る表示のあり方については、今後関係方面とも調整を図りながら十分に検討してまいる所存でございます。

政府参考人(楢崎憲安公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 表示につきましては公正取引協議会というところで公正競争規約という自主的な規約を設けて運用しているわけでございますけれども、昨年十二月には加工乳等について、牛乳という文言を使用する場合には五〇%以上生乳が入っていないといかぬというふうに改めてきたわけでございますけれども、今後とも消費者に対する適正な情報提供という観点から、生乳の使用割合、それについても明確化するなど、どういう方策が可能かどうかについて協議会等に検討を促しているところでございます。

国務大臣(谷洋一農林水産大臣) 先ほど来お話がございましたが、私の考えは、確かに農林水産省の責任とおっしゃいますし、そのとおりだとは思います。しかし、農林水産省だけの決断では、やはり厚生省の十分な理解がなかったらだめなんですよ、これ。そこに問題があると思っておるんです。ですから、厚生省と農林水産省とが十分連携を保って、公正取引委員会もその中に入って十分連絡調整の上で決定をすると。そして、今後、こういうまがいものという表現一つにしても、なかなか意味深長な問題でございますから、そういう点で理解を深めていくということが大事だと思っております。
 そういう意味で、私は全体の立場で考えたいと、こういうことを言っておるんです。