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第147回国会
2000年5月25日
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糖価安定法について
砂糖の自給率アップ対策について
砂糖生産者対策について
安定法改正に伴う具体的な政策について
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委員長 農砂糖の価格安定等に関する法律及び農畜産業振興事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
中川義雄
自民党の中川義雄です。
質問に入る前に、口蹄疫問題で大臣初め農林省挙げて大変な御苦労をいただきまして、まずもって厚く感謝申し上げると同時に、なお一層の御配慮をいただきたい、こう思っております。
きょうは糖価安定法ということで、砂糖といえば、これまた本当にこの国では特殊な話でありまして、北端の北海道と南端の沖縄、鹿児島の一部というような南北に偏っておりますが、いわゆる本州というところでは全然栽培されておりません。しかし、北海道のてん菜は畑作の貴重な輪作体系の中でしっかりとした基盤を持ち、またサトウキビにつきましては、御承知のように、非常に風の強い、しかも干ばつもあるというような、ああいう南の厳しい自然環境の中ではサトウキビだけしか育たないというような特殊な作物であります。しかも、それぞれ国産の糖業企業がその地域で非常に大切な役割を果たしている、いわば地域の活性化に大変大きな役割を果たしている重要な産業となっているわけであります。
これまでも糖価安定法に基づいていろいろと政策を続けて今日まで来ましたが、御承知のように、これからまた違った観点に立って甘味資源作物生産及び国内産糖の振興に関する問題に取り組もうとしているわけですが、大臣、基本的な姿勢をお示しいただきたいと思います。
国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣)
ただいま委員が御指摘をいたしましたように、甘味資源作物であるてん菜、サトウキビは北海道、鹿児島県南西諸島及び沖縄県の地域農業における基幹作物でありますとともに、それを原料として生産されるてん菜糖、甘蔗糖は地域経済において重要な位置づけを有しているものと認識いたしているところでございます。
砂糖は食品産業における基礎的な素材であり、国民の食生活に欠くことのできない食料でありますことから、国内における甘味資源作物と国内産糖の生産は食料の安定供給の観点から重要な位置づけにあると考えております。
このため、食料・農業・農村基本計画におきましては、甘味資源作物と国内産糖の生産の維持拡大を目指しますとともに、今回の法改正によりまして、砂糖の価格の引き下げを通じた砂糖の需要の維持拡大を図りますとともに、輸入糖と国内産糖の適切な価格調整と市場原理の円滑な活用を図りながら、甘味資源作物生産者の経営の安定及び砂糖製造事業の健全な発展を図ることを目的としておるところでございます。
中川義雄 昨年策定されました基本法、それに基づく基本計画におきまして自給率を何とかして高めていきたい、そういうことで、現行カロリーベースで四〇%ぐらいをせめて四五%ぐらいに十年でしたいという願いを込めてそういう計画を打ち立てました。
そして、その中で砂糖につきましても、平成九年の自給率二九%から、これは長期的に見て、平成二十二年で三四%、非常に今低減傾向にあるが、これを変えて、少しでも自給率を向上させるという、祈りにも似たそういう計画になっております。しかし、大変難しい問題が山積していると思いますが、政務次官、この自給率の向上について、これを実現させるための御決意などを伺いたいと思います。
政務次官(金田勝年農林水産政務次官) 委員御指摘のとおり、砂糖の自給率につきましては、作柄による変動もありますけれども、サトウキビの生産の減少、そして加糖調製品の輸入の増加などもございまして、このところ低減傾向、低下してきているという状況にあるわけであります。
しかしながら、砂糖の自給率につきましては、平成二十二年度におきましては三四%まで向上させたいというふうに考えているところでありまして、食料・農業・農村基本計画におきましては、こういう考え方のもと、国を初め、生産者、砂糖製造事業者、消費者が一体となって取り組むということをしてまいりたいというふうに思っているわけであります。
具体的には、価格競争力の回復、そして砂糖の需要拡大、それからてん菜につきましては直播栽培等によります省力化、それから優良品種の導入によります低コスト化、そしてサトウキビにつきましての生産規模の拡大、機械化一貫体系の導入による省力化、そして優良品種の導入によります低コスト化、こういった各般の観点からの取り組みを、生産者、砂糖製造事業者、消費者が一体となって取り組んでいく。国を初めとしてそういう努力をして、砂糖の自給率を平成二十二年度におきましては三四%まで向上させてまいりたい、このように考えている次第であります。
中川義雄 今、政務次官がおっしゃったとおり、ここ数十年の流れとしては、砂糖の国内需要も低減するようなこともあって、徐々に低下してきたわけですが、これを何とかしたいということであります。特に、最近では、今、政務次官が言ったように、加糖調製品の問題が大きくクローズアップされているわけであります。しかし、これを例えばWTO交渉にのせることさえ私は困難だと思うんです。なぜかというと、特定の個別品目を挙げてこれだけを議題にするというようなことはなかなか制度の上からいっても難しい。
ですから、今、基本的には国内糖価をある程度下げて、そして競争力をつけて加糖調製品を入ってこないようにするというのが政策の基本だと、私はそう承知しているわけですが、政府としまして、今回のこの制度改正において、国内産砂糖の需要拡大のために国内糖価の引き下げ、何とかして競争力を高めたいと、こういう願いがあると思うんですが、政務次官、これにはどう具体的に対応しようとしているのか、お考えがあったらお示しいただきたいと思います。
政務次官(金田勝年農林水産政務次官) やはり、国内糖価の引き下げを図り、そしてそれが砂糖の需要量の増大につながるという観点、委員の御指摘でございます。
私どもも、砂糖の価格につきましては本年四月から粗糖関税の撤廃をいたしております。これは一キロ当たり約七円程度の効果があるというように私どもは受けとめておりますが、この四月から実施されました粗糖関税の撤廃、それから砂糖生産振興資金、これまでは糖価安定資金でありましたものを改称いたしておりますが、砂糖生産振興資金を財源といたしました輸入糖調整金の時限的引き下げ、一キロ当たり十円の引き下げであります。こういったことを実施いたしまして、当面、キログラム当たり二十円程度の引き下げを実現してまいりたい、このようにいたしておるわけであります。
またさらに、てん菜・サトウキビ生産者、国産糖企業、それから精製糖企業等の関係者の合理化の取り組みによりまして、中長期的にさらにキログラム当たり十円程度の引き下げを目指していく。
こういった措置をあわせまして砂糖の価格の引き下げが実現するというふうに考えておるわけでありまして、砂糖需要の維持増大がこれによりまして可能になるものというふうに考えておる次第であります。
中川義雄 そのためにはどうしても、生産農家、国産糖企業そしてまた国内の糖業者、それぞれ努力しなければならないわけですが、そういった意味でも、例えばてん菜の生産についてイギリスと比較してみましても、我が国の生産費はイギリスの三倍とも聞いておりますし、また単位当たりの労働時間も七倍ぐらいかかっているのではなかろうかというような話も聞いております。そして、これまではその差を糖価安定制度の価格調整によって今日まで生産農家が維持されてきていると思うわけですが、これからもそういう点では大切な話だと思います。
この点を踏まえて、農業生産の生産者対策をどのように講じていこうとしているのか、できるだけ具体的に農産園芸局長のお答えをいただきたいと思います。
政府参考人(木下寛之農林水産省農産園芸局長) 委員御指摘のとおり、てん菜の生産費はイギリスの大体三倍程度になっているわけでございます。
この要因といたしましては、イギリスがすべて直播栽培であるのに対しまして、我が国ではほとんどが育苗なり定植という作業が必要となる移植栽培でございます。これが一点でございます。第二点といたしまして、日本では夏季に高温多雨となり雑草の発生が多いということから中耕除草作業が必要となること等から、労働時間が約七倍というような数字になっているというふうに考えております。
したがいまして、私どもは労働時間の大幅な削減可能となります直播栽培の普及が重要課題というふうに考えておりまして、一つは直播栽培の普及のための実証展示圃の設置、平成九年度から続けておりますけれども、今後これを続けていきたいというふうに考えておりますし、そのような直播栽培に適した機械の改良も重要だというふうに考えております。それから、直播栽培に適した品種の育成ということについても現在取り組んでいるところでございまして、これらによりまして、今後、平成二十二年に向けまして直播栽培の普及を推進することとしたいというふうに考えております。
また、あわせまして、病虫害に強い品種の育成、それから水はけをよくするための土地基盤整備等の推進によりまして、高品質、低コスト生産の実現に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
中川義雄 また、今回の改正で主要な改正、改正の中心と言ってもいいと思いますけれども、新しい農業基本法の理念に基づいて価格が需給関係によって決定される、そういう仕組みを入れたというところに一番大切なものがあると思うわけです。需要と供給のミスマッチを少なくするという意味でこれは大切なことだと思うわけであります。
しかし、そのことで一番心配するのは、これまでは生産農家の所得をある程度補償していた、それがこれによって所得の補償という観点がどうなっていくのかということが生産農家の一番心配しているところであります。
そういうわけで、昨年九月に策定された新たな砂糖・甘味資源作物政策大綱においても、生産者の所得確保に十分留意すると、こうなっているわけですが、今回の法改正に当たってどのようになっているのか、できるだけ具体的にその政策をお示しいただきたいと思います。
政府参考人(福島啓史郎農林水産省食品流通局長) 甘味資源作物につきましては、引き続き最低生産者価格制度を維持するようにしております。その算定につきましては、先生今指摘がありましたように、需給事情を適切に反映するために、これまでの農業パリティー指数方式から、前年産の価格に国内産糖価格の変動率と生産コスト等の変動率を乗じて求めることとしているわけでございます。
その際、御指摘にありましたように、生産者の所得と再生産を確保する観点から、制度の運営に当たりまして、まず第一に、前年産価格というのは基準糖度帯におきます現行の最低生産者価格に現在、農家に直接交付されております対策費相当を加えた額ということで、現行の農家手取り額ということで発射台を高くしていることでございます。
それから二番目に、国内産糖価格の変動率と生産コスト等の変動率の算定に当たりましては、移動三年平均を用いることによりまして変動を緩和すると同時に、為替なりあるいは輸入糖価格の変動といったような外的な要因によります変動を除いて算定するということでございます。
それから三番目に、特にサトウキビにつきましては、家族労働費が生産費の大きな部分を占めているわけでございまして、生産コスト等の変動率を算定して、そうした実態を考慮しまして変動率を緩和して算定するということでございます。
それから四番目に、算定の状況によっては激変緩和措置を講ずることができるというふうにしているわけでございまして、生産者の所得確保に十分留意してまいりたいというふうに考えております。
中川義雄 その点は十分配慮していただきたいと思っております。
そしてまた、一方では合理化をきちっとしなければならないものとして、国産糖企業のあり方であります。
御承知のように、沖縄等また南西諸島というのはそれぞれ島単位の生産なものですから、これを合理化するといってもかなり難しい問題があると思うんです。しかし一方、北海道のようなところは、かなり大規模に生産されていて、努力すればもっと合理化ができるのかな、こう思ったりしております。今の北海道の場合でも、製糖工場まで百数十キロ輸送にかかるような、そういう非常に大変な地域もありますが、何とかして、イギリス並みとはいきませんが、イギリスとはもう相当のコスト面での格差があると聞いておりますが、EUの中堅クラスまで北海道の場合は努力によって持っていけるのかななどと思っております。
そういうことで、国内のてん菜糖企業の合理化に対する政府の考え方があればお示しいただきたいと思います。
政府参考人(福島啓史郎農林水産省食品流通局長) 今、先生御指摘がありましたように、例えば英国と比較しますと、てん菜の処理量は英国の九百万トンに対しまして日本は四百万トン程度ということでございまして、半分強の水準でございます。それに対しまして、集荷製造経費、集荷経費と製造経費を足したものを比較しますと日本は英国の二倍弱ということで、英国と比べますとてん菜の集荷製造経費は非常に高くなっておるということでございます。
そういうことから、やはりこれまでも北海道におきますてん菜糖企業三社はこれまでも集荷製造経費の削減に努めていただいているところでございますが、砂糖の価格競争力を強化し需要の維持増大を図っていくためには、今後とも、一つは原料でありますてん菜の生産の安定によりまして工場の安定操業を図っていくということ、二番目には設備の能力向上によりまして一層の集荷製造経費の削減を図っていくなどの合理化に取り組むことが必要であるというふうに考えております。
国としましても、こうした主体的な取り組みを支援する観点から、産業活力再生特別措置法によります金融・税制上の支援措置、あるいは砂糖生産振興資金を財源といたしました国産糖企業の合理化への支援措置などを講ずるようにしておるところでございます。
中川義雄 砂糖の安定的な発展を遂げていくためには、やはり国際的な観点から見ていかなければなりません。
我々が非常に心配するのは、またWTOで何か違った案が出されて、それが国内の生産農家を直撃するようなことがあってはならない。
そういうことで、WTOにおきましては、輸入国と輸出国、それから先進国と開発途上国、それぞれの利害が対立していろんな話がなされていると思っています。大臣も前回出席されて、日本の国益を守るために主張はしたと、こう聞いておりますが、あれも途中で終わっている話であって、我々は今後に、特に大臣の何としてもこれ以上もう許せないというような、そういう悲願を込めた交渉、それに期待しているわけですから、最後に大臣の決意をお聞かせいただきたいと思っております。
国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 今後のWTOの農業交渉でありますけれども、これは既に農業協定第二十条に基づきましてスタートしているわけでございます。
シアトルの閣僚会議における宣言案といいますのは決裂したわけでございますから、これに基づかないでスタートをする、つまり農業協定の第二十条に基づいてやっていく、こういうことでございまして、この二十条においてはウルグアイ・ラウンド実施の経験や非貿易的関心事項、公正で市場志向型の農業貿易体制を確立するという目標に配慮をしつつ行われる、こういうふうに理解しておるわけでございますが、我が国としましては今回の交渉を通じまして、いずれの国にとりましても公平で公正な貿易ルールの確立を図り、各国の農業が共存できるような国際規律を確立することが必要と考えているところでございまして、こういう趣旨で今後やってまいることでございます。
砂糖につきましては、各国が、つまりそれぞれ国内産糖を保護する、こういう観点から一定の国境措置、その他をとっているところです。例えば、アメリカにおきましては関税割り当て制度をとっておりますし、EUにおきましては含有量に応じた関税率が高くなるような方式をとっておるわけでございます。したがいまして、我々もこの法の改正後の制度におきましても輸入糖調整金により国内産糖との価格調整を行うこととしておりますので、必要な国境措置を確保するよう努めてまいります。
また、甘味資源作物の生産者に対して価格支持の効果を有する施策は現行のWTO協定上、黄の施策として位置づけられておりますが、我が国は黄の施策の取り扱いについては各国における市場志向的な政策転換の進捗に配慮し、現行の総合AMS、国内保護水準等の枠組みを基本としつつ、各国が行う政策運営の柔軟性が確保されるべきであるという主張を行っているところでありまして、これが今後、各国の支持を得られるような形で交渉をしていくというのが基本でございます。
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