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国会活動/発言一覧 参議院「農林水産常任委員会」

第147回国会
2000年4月18日
食料流通構造改善促進法の一部改正について
国産農産物の需要拡大について




委員長(若林正俊君)  食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。

中川義雄  自民党の中川義雄であります。
 まず最初に、有珠山の件で、大臣初め農林省挙げて取り組んでいただきまして、被害を最小限に抑えていただきました。心から道民の一人として御礼申し上げます。
 しかしまだ、これからいよいよ農繁期に向かって難しい課題、また漁業にも大変な課題がありますが、たくさんありますので、これは後ほど地元の要望をまとめて申し上げたい、こう思っております。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 今回の法の改正に当たって、私はしみじみ一つのことを考えました。それは、私の住んでいる北海道の十勝の北部で、大雪山国立公園の東端に当たる町に士幌町という町があります。私は、この士幌町という町は日本一の農業地帯だと、そう考えているんです。
 この町には五百戸ぐらいの農家があります。この五百戸ぐらいの農家が持っている貯金が約六百五十五億円です。一戸当たりにすると約一億三千万という大変豊かな農業地帯を形成しております。私も、かねがね日本農業をこのように欧米に負けないこんな地帯にしたいものだということもあって、その指導者といろいろと御意見を交わしてこれまで来ましたが、ひとしく言うことは、一つは、農家の誇り、人づくり、教育の問題が一番大事だ。第二は、みずからつくったものを少しでも付加価値を高めてそれを出荷すること、消費者に提供すること、この二つにこの五十年間取り組んできた結果がこうなったという話であります。
 ちなみに、その一つの例として士幌高校という高校があります。町立の農科一科と生活科一科の本当に小さな、しかもそれは戦後開拓地の一番へんぴなところにその農業高校があり、全寮制であります。
 そしてまた大変なことで、北海道の場合は町立高校から道立に移管するという運動が盛んになってほとんど道立になったんです。しかし、この町だけは絶対に道立にしない、町立にしておこうと。それは、農協みずからが校舎を建てたり奨学金をつくったり、また全道から優秀な先生方を集めてくるという、そういう取り組みをしながらやってきた結果です。
 私も数十回お伺いしましたが、入ってみてほかの高校と違うんです。生徒も先生方も必ずいらっしゃいという声をかけてくれるような、そんな人間教育も完成している。しかも、教育の中身は実践教育が主体で、町内の優秀な農家に実習させながら農家の生活や農業の実態を体験させる、そして誇りを持って後継者として世に出す。このことが成功の一つのかぎだと、こう思っております。
 もう一つは、付加価値を高めようということで大変な努力を重ねてきております。今、そのための加工コンビナートというのが士幌町、農協を中心とする一帯に大変な工業地帯みたいなものができております。これまでの総合計投資額はおよそ三百億を超す、しかもそれでは足りない。
 なぜかというと、消費地にどうしても提供するためには流通経費を軽減しないとならないということで、埼玉県の東松山市に約百億円を投下してポテトチップと野菜サラダの工場をつくっております。そしてまた、京都府の福知山市には約二十五億円かけて、これは関西方面の消費地の中心ということでポテトサラダ工場をつくっておりまして、このようにみずからの地帯に、農産物の地帯にも十七の工場を持ついわば農業コンプレックス、そういうものを形成すると同時に、消費地に近い地域にもみずから進んでそういうものをつくって、またその地域の発展にも貢献している。こんな士幌農業の姿です。
 そして、士幌農業の総生産額が約二百十億円、一戸当たりにすると四千万強であります。そして、出荷額が二百五十億円、その他のいろんな流通等の波及効果を考えますと、士幌農民合わせて約五百億円ぐらいの生産効果を上げている。その結果がこのようなすばらしい地帯をつくり、農民みずからが農産物加工に取り組んで付加価値の高い農業コンビナートの地帯を実現して、このような姿を実現したわけであります。
 私は、今回提案された法案がこのように食品産業と農業との連携を強化し、農業者、農協みずからが行う農産物加工の支援という意味でこの法律はどのような役割を果たし得るのか、そしてこのような農業地帯を全国至るところにつくってみたいものだな、そんな夢を込めて、まず大臣の抱負を聞かせていただきたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣)  今、委員が言われましたことは大変大事なことだと思います。
 まず、生産者が原料の販売のみならず、付加価値をつけて農産物の加工品を産出するということは極めて重要なことである、こういうふうに考えておるわけでございまして、それを通じて地域経済においても重要な役割を果たしていると考えております。
 農協等によります農産物加工施設の整備につきましては、これまでも各種補助事業により支援をしてきておりまして、さらに今回の改正におきましては、新たに食品製造業者と農林漁業者との連携を通じた種々の取り組みを支援対象とすることといたしておるわけであります。これによりまして、農業者、農協におきましては販路の開拓と確保を図ることができる、また食品製造業者の有する知識、技術、ノウハウ等の移転、消費者ニーズの把握ができると存じます。また、食品製造業者の負担による生産加工施設等の整備等が期待をされるところであります。
 このことによりまして、農協等のさらに付加価値の高い農産物加工への取り組みの展開が促進をされるとともに、農業経営や農家所得の安定、向上に資するものと考えているところであります。

中川義雄 この士幌町では、また一方では農協の持っている資産、含み資産を含めると五百億円とも一千億円とも言われている、全国にいろんなところに倉庫群を持って、その土地だとか何か。そうすると、農家にしますと、農協の持っている資産、一戸当たりにすると二億円近くになるものですから、離農するとその二億円を放棄するような気になりますから、まず最近どこの町へ行っても離農が多い中で、この町では後継者がいなくても、いわば婿さんと言ったら悪いですが、とってでも強引に後継者にするという傾向がある。後継者に悩んでいる地域の皆さん方にはうらやましいような地域になっております。これもやはり豊かな農業地帯をつくるといろんな心配が解決するということになるものだと、こう思っております。
 そこで、今回の食品法の改正によって、私は食品産業と農業者との連携を推進して、一つには農林漁業者、二つには食品産業、三つにはやっぱり消費者、それぞれに効果を期待していると思いますが、このことについて大臣の考え方があればお示しいただきたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 今回の法改正によりまして食品産業と農林漁業との連携、食品産業の技術開発や卸売市場の活性化が推進されることを通じまして、まず農林漁業者に対する効果といたしましては、食品産業と安定的な取引関係を構築することによりまして農林水産物の安定的な販路の確保が図られることが第一点であります。第二点としましては、農林水産物の集出荷施設や農林漁業生産施設が食品産業により整備されることが挙げられると思います。
 また、食品産業に対する効果といたしましては、農林漁業者との安定的な取引関係を構築することによりまして、良質な原材料農林水産物を調達できる、こういうことがあると存じます。また、食品産業の技術水準の向上が図られること、さらに卸売市場の活性化により流通の合理化が図られることが挙げられると思います。
 さらに、消費者に対する効果といたしましては、食品の生産、流通、加工の改善が図られ、品質の高い食品が合理的な価格で安定的に供給されること等が挙げられると思います。
 以上であります。

中川義雄 次に、政務次官にお伺いしたいのでございますが、今回の法改正で卸売市場のことについて触れておりますが、卸売市場は国民生活に不可欠な生鮮食料品を迅速かつ安定的に供給する上でこれまでも重要な役割を果たしてきておりますが、この卸売市場のあり方についてこの法律ではどのような形をとってどのような姿を求めているのか、政務次官の考え方を示していただきたいと思います。

政務次官(金田勝年農林水産政務次官) ただいま委員から御指摘ありました卸売市場につきましては、近年の卸売市場をめぐる情勢につきましては、御承知のとおり、市場外流通の進展あるいは市場関係業者の経営の悪化というような状況が見られておりまして、卸売市場の活性化という課題が急がれる状況ということになっておるわけであります。
 一方、生鮮食料品につきましては、例えば腐りやすいとか、あるいはたくさんとれたり、またとれなかったりという豊凶変動が激しいという商品特性があるわけでございまして、今後とも卸売市場が消費者に対しましては迅速かつ効率的な生鮮食料品の提供、そしてまた生産者に対しましては確実かつ迅速な販路の提供、そして流通・小売業者に対しましては取引の場の提供という、卸売市場の持つ役割を適切に果たしていくことが必要だというふうに考えているわけであります。
 このようなことを考慮いたしまして、昨年改正されました卸売市場法のもとで関係業者の経営体質の強化、そしてまた市場利用者のニーズに応じました取引方法の改善といった措置を講じますことによりまして、市場外流通との競争力を高めまして、卸売市場がその役割を今後とも十分に果たしていくことができるように努めていきたいというふうに考えておる次第であります。

中川義雄 続きまして、政務次官にまたお伺いしたいんですが、国内農産物の需要者、最終的には消費者でありますが、その中間で食品産業の事業基盤の強化を図らなければならないと思うんです。そして、あわせて国産農産物の需要拡大、要するに国産農産物を大事にする食品産業の基盤の強化ということが非常に大事だと思いますが、このことについての御見解を伺いたいと思います。

政務次官(金田勝年農林水産政務次官) 国産農産物の需要の拡大を図ることが重要だという御指摘でございますけれども、食品産業はその原材料調達の三分の二を国産の農林水産物に依存しているわけであります。また、その地域経済に占めますウエートが農林漁業の主産県といいますか農林漁業の盛んな県ほど高いという状況にございまして、地域農林漁業と深く結びついた地場産業としての食品産業の性格というものがあるわけであります。
 したがいまして、本法律案におきましては、この食品産業と農林漁業との連携を促進するように、食品生産販売提携事業あるいは地域の農林水産物の新たな加工技術開発等の支援を行います新技術研究開発事業、こういった事業を追加、拡充することとしておるわけであります。
 これらの事業を活用することによりまして、食品産業の事業基盤の強化あるいは国産農産物の需要の拡大というものが図られていくものであるというふうに考えておる次第であります。

中川義雄 食品流通局長に事務的なことだからお伺いしたいと思いますが、食品流通構造改善促進法につきましては、平成三年度に制定され、今回大幅な改正になりますが、今日に至るまでどのような効果を上げているか、小さい問題じゃなくて、こういうことで大きな効果を上げたというものについて例示していただきたいと思います。

政府参考人(福島啓史郎農林水産省食品流通局長) 今、先生御指摘がありましたように、この食品流通構造改善促進法は平成三年に制定されているわけでございます。それ以降、これまでにこの構造改善事業の認定件数といたしまして二百八十九件認定されております。そのことによりまして、生産者とそれから販売業者の直接取引によります効率的な流通システムがつくられてきているということが一つ。それから、卸売市場の機能の高度化のための冷蔵保管施設等の施設整備が進んできておるということ。それから、食品販売業におきます冷蔵あるいは冷凍ショーケースなど、あるいは多温度帯の配送車といったような近代化施設の整備が行われているということ。また、件数は少ないわけでございますが、今後、増加傾向にあります食品商業集積施設につきましては店舗の集約化が進められるということ。そういうことによりまして食品流通の合理化、高度化が図られてきているというふうに考えているわけでございます。
 こうした取り組みを通じまして、先ほど大臣から御答弁がありましたように、農林漁業者に対しましては国産農産物の販路の確保なりあるいは経営の改善が図られているということ、また消費者に対しましては高鮮度で、かつ高品質な食品を効率的に供給されるようになってきているということ、また販売業者に対しましては店舗の近代化等が図られているということ、それらにこの構造改善促進法は少なからず寄与しているというふうに考えているわけでございます。
 今回、事業内容を拡充しているわけでございますが、拡充した事業を含めまして、各種の構造改善事業の着実な実施に努めまして、食品流通構造改善を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

中川義雄 局長にお伺いしますが、先ほど士幌農協の例を挙げて紹介させていただきましたが、このような例は全国至るところにあると思うんです。
 それで、農民や農協系統による原産地における加工がどうなっているか、または消費地に近づけてどんなような状態で加工をしているか。代表的な事例でよろしいですから、これはこの促進法の目指す大きな目標の一つになっておりますので、事例として挙げていただきたいと思います。

政府参考人(福島啓史郎農林水産省食品流通局長) 今、先生言われました農協系統が行う農産物加工につきましては、先ほど士幌農協の例がございました。また、北海道では牛乳を利用しましたカマンベールチーズの生産という事例もございます。また、青森県ではリンゴジュースの製造という事例がございます。茨城県では地場の小粒大豆を利用しました納豆製造、それから福井県では小粒ラッキョウを利用しましたハナラッキョウ漬けの生産、それから和歌山県では梅干しの製造、それから高知県ではユズの加工、また鹿児島県では黒豚ハムや鶏肉加工品の製造等、各地域の特産農産物を活用いたしました食品加工が行われているところでございます。
 また、消費地におきます食品加工施設の整備の例としまして、先ほど先生から御指摘がありました士幌農協の埼玉県なり京都府下におきますポテトチップスなりポテトサラダ工場のほかに、最近ホクレンが山梨県下に北海道産のジャガイモを使いましたポテトサラダ工場を設置しているという、そういう事例が見られるところでございます。

中川義雄 これで最後にしますが、士幌農協ではこれからの最高の課題として、士幌農協がこういう大変なすばらしい食品加工センターみたいなものをつくり上げた最初は、昭和三十年に大変な苦労をして合理化でん粉工場をつくったところから始まったんです。その施設が大変な効果を今日まで生んできたんですが、老朽化が進んで、今これまた大変な悪臭を生んだり、廃液をどう処理するかという大問題に直面して、これを全面的に建てかえをしなければならない。約百五十億円投下する。農林省にも要望が上がってきておると思いますが、これは答えていただかなくても結構ですが、できれば前向きにこれに対応していただきたい。
 百五十億ということになりますと、幾ら士幌農協が力があってもやはり国の助成が必要だと思います。この促進法に基づいたこういうモデル的なことをやっている地域ですから、大臣、細かい話ですからいいんですが、前向きに検討すると一言いただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 前向きに検討いたします。