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国会活動/発言一覧 参議院「農林水産常任委員会」

第147回国会
2000年3月16日
保証乳価制度について
12年度の乳価算定について
牛乳,乳製品の自給率について




委員長  農林水産に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

中川義雄  きょう実は、最初五十分ぐらいの時間を割り当てられておったのですけれども、他の委員会との関係で三十分ということになったものですから、通告した項目のうち大事なものをピックアップしていきますので、順不同になると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最初に、今ちょうど酪農部会で乳価の諮問をしている最中だと思いますが、その辺から最初に聞いていきたいと思います。
 現行の保証乳価制度というのは、昭和四十一年から始まりまして、ことしで終わって、来年からは新しい制度に移換する、こう聞いているわけであります。これまでは生産費等で乳価の総体を想定して、それから基準取引価格を差し引いたものを不足払い、補給金として政府が保障するという、そういうメカニズムになっていたわけですが、来年からは政府が一定の交付金を生産者に交付して、そして乳価は市場のメカニズムで決まった乳価で流通に乗る。ですから、生産者の手取りは流通乳価と、そして新しい交付金を足したものが手取りになるということに変わっていくわけであります。
 そういうわけで、来年から移行する、この四十一年から長いシステムで決定されたものを新しいシステムに変える、ことしはその一里塚みたいな大切な年でありまして、大臣としてはその点、どういうような配慮をしながら諮問案を策定したのか、その点だけちょっとお伺いしたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣)  まず、今までの加工原料乳制度は価格を安定的に維持してきた、こういう点で評価できるかと思うわけでございます。新しい制度に変わるに当たりましては、新しい制度におきましても安定的な価格が維持できるようにしていくという配慮が必要なのではないか、こう思うわけでございまして、今回の諮問案におきましては、価格の算定要素をいろいろ当たりまして、価格そのものは若干下がっておりますけれども農家の手取りはふえるように、そういう配慮をいたしたところでございます。
 それから、さらにはまた環境対策、ふん尿対策等におきましても、できるだけ農家の要望にこたえた積極的な対応をしていかなければならない、こういう点も考えておるところでございます。

中川義雄 今、大臣が苦労していろいろ所得を保障するために、酪農家が将来に向かって再生産可能な形をつくっていくために価格とは別ないろんな施策をした。そういう点では、例えば土地利用型酪農推進事業だとか、また環境整備事業だとかヘルパー事業、それにことしは特に生クリームの問題で大変配慮していただいて、酪農家の皆さん方も何となくほっとしているというのが実態でありまして、私もそういう点では皆さん方の、特に大臣の努力に対して心から敬意を表する次第であります。
 ただ問題は、来年からの問題がどうなるかという心配があるわけであります。
 第一は、これは審議官に聞きますが、試算してみたんですが、今農林省が持っている新しい資料で手短にやったものですから四十一年までさかのぼれませんでした。
 昭和五十二年から平成九年までの間に、生産費を決める大きなウエートであるのは労務費と飼料費なわけであります。労務費が昭和五十二年から平成九年の間に実に二・三九倍になっているんです。労賃は大変上がっているわけですね。それに対して飼料は〇・八八倍、十数年間で〇・八八倍ですから比較的安定的に推移しているわけです。そしてまた、保証乳価も〇・八四倍という形ですから、何となく飼料と非常にフィットしたような形で、飼料の値下がりがそのまま保証乳価の値下がりになってきております。
 労務費が高騰したのに余り上がっていないというその最大の理由は、私の見解では、これは私の考え方です、この間生産者が大変努力して、昭和五十二年ごろ、私が道会議員に出るちょっと前ですから、そのころは平均の一頭当たりの搾る乳の年間の量というのは五千キロぐらいと言われていた。五千キロで優秀だと言われていたのが、今は平均で八千キロを超えて、優秀な酪農家は一万キロも搾るというような大変な生産性向上。これは日本農業の中でこのぐらい頑張った部門はそうないと思われるぐらい頑張った結果、労賃がこれだけ上がって物価も上がっている中で保証乳価は非常に安定的に推移したというのは、酪農家のそういう大きな大きな努力がそこにあった、こう思うわけであります。
 今の数字について、審議官、農林省の数字を使ったつもりですが間違った数字だったら困るので、いかがでしょうか、今の数字。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) 今、中川先生は五十二年当時の数字と平成九年の数字を恐らく比較されたと思いますが、五十二年の労働費一時間当たりは七百二十九円三十銭でございました。これに対しまして、平成九年は千七百四十二円

中川義雄 そういうのじゃなくて、時間がないから簡潔に。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) わかりました。言われたとおりでございます。

中川義雄 私も数字を言おうと思ったんですけれども、言っていると時間を食ってしまいますから、その倍率がそうであればそれで結構なんです。
 ここで言いたいのは、なぜこのことを言っているかというと、当時は欧米の先進的な酪農地帯と日本の酪農では一頭当たりの乳量は生産性で大変な格差があった、それに追いつけ追いつこうという努力で今日まで来て、今は世界でトップクラスの頭当たりの乳量を確保するような状態になったわけです。そういうときに、来年からは価格は市場のメカニズムによって決まる、あと政府が関与できるのは交付金とそれから大臣が今言われたいろんな諸施策だけであります。
 その点で一番心配しているのは、これまでは基準乳価という形でメーカーに売る価格はある程度政府が想定し関与しながらやってきましたが、自由になってくる。その場合、乳価が下がったり、労賃は上がっていくが御承知のように乳価が下がって農家の手取りが下がったりすると、所得で都市の労働者と酪農家で大変な開差ができたりすると困ると。乳価が暴落したようなときにはあらかじめことしのようなことを対策としてやっていくが、これまではそれで十分保障できたんですけれども、乳価は生き物ですからどういうふうに変わるかわかりません。
 乳価が暴落して農家の手取りが、所得が減ってしまったときに、その場合の安全弁みたいなものは今から考えておかぬとならないと思いますが、大臣、その点について何か工夫がありましたらお示しいただきたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 暴落した場合の対策いかん、こういうことでございますが、あらかじめ生産者による価格変動に備えるための積立金を造成することとしております。国としてもこれに対して一定の拠出を行う、こういうことで今検討しているところでございます。

中川義雄 この制度が唯一の頼りになると思いますので、そういう不測の事態に対して十分配慮していただきたいと思っているわけであります。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) わかりました。

中川義雄 次に、新基本法のもとに新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針というものが試算として農林省の方から出されております。その中では、主たる農業従事者の年間労働時間は最高でも二千時間ぐらいにしておこう、そうしないと労働条件で農民と都市の労働者との間に大きな格差ができてしまう、そういう一応の指標を出されたんです。私もそれは非常に大切なことだと思っている、基本法の精神でやっていくときに。
 ところが、審議官にちょっとお聞きしますが、酪農家の平均の労働時間は聞くところによると、私たちはきちっとした統計数字は持っていませんが、三千時間を超すような、そして休日も時間外も全くないような過酷な労働条件の中でやっているというのが酪農の実態だと。このような非常に過酷な労働条件を緩和する施策として、これは政務次官に聞いた方がいいのか、政務次官でも審議官でも結構ですからお答えいただきたいと思います。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) 今、数字の御指摘がございましたが、これは北海道と内地ではかなり違うわけでございますが、確かに規模が大きい層におきましては三千時間を超える実態もございます。
 これにつきましては、極めて重要な課題と思っておりまして、その労働時間を、できるだけゆとりある経営にしていくということでいろんな施策を推進していきたいということでございます。例えば、効率的な飼養管理方式の導入を推進いたしますとかヘルパーでございますとか、あるいはコントラクター、こういった支援組織を普及していく、あるいは定着していくということも考えてございます。
 そういうことで、酪肉近に示す予定でございます二千時間という目標に向かって邁進していきたい、こういうことでございます。

中川義雄 これは政務次官に聞きたいと思うんですけれども、酪農・乳業対策大綱において、十二年度の乳価の算定において環境整備加算、ヘルパー加算というのは今まで乳価にべたづけしていたわけですが、これを外して、政策としてしっかりしたものをくみ上げていくというふうに聞いていたんですが、今回それをどのような形で出されたのかお示しいただきたいと思います。

政務次官(金田勝年農林水産政務次官) ただいま委員御指摘の酪農・乳業対策大綱のお話でございますが、この中で十二年度の乳価の算定におきまして、環境整備加算、ヘルパー加算への転換を図るということでございますが、この環境整備加算、ヘルパー加算につきましては、新たな酪農・乳業対策大綱におきまして、畜産環境の整備あるいは酪農ヘルパーの利用促進という所期の目的を効果的に達成し得る施策への転換を図るということにされておるところであるわけであります。
 具体的には、環境整備加算につきましては、飼料作物作付面積をふやす生産者へのインセンティブとして、今年度より実施しております土地利用型酪農推進事業を拡充していくこと、そしてまたヘルパー加算につきましては、酪農ヘルパーの利用促進のために、ヘルパー利用農家に対しまして、ヘルパーの利用日数に応じて利用料金の一部助成を行うということを新たに検討しているというところであるわけであります。

中川義雄 ちょっと審議官にお伺いしたいんですけれども、きょう、今審議会に答申を求めている案で、生産費を算出する基礎として、五人以上の北海道の製造業の時間当たりの単価を一応根拠として出していると思いますが、今回はそれを幾らに見ているでしょうか、一時間当たりの単価を。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) 今回の乳価算定に当たりまして、単価といたしましては千七百六十八円二十五銭という単価を基礎にしてございます。

中川義雄 これは審議官にお聞きしたいんですけれども、実はここに農林水産省札幌統計情報事務所が出した北海道の酪農経営の分析という、かなり酪農経営の分析をしたものがあるんですが、それによりますと、平成十一年における酪農家の所得を時間当たりに割ってみますと千四百十円と出ているんです。生産費では千七百七十数円と見たんですが、都市の労働者にとりますと、賃金はすべてが所得と言ってもいいわけであります。酪農家は、千七百六十何円の経費としてそれだけは見たかもしれないけれども、結果として酪農家の時間当たりの所得は千四百十円と出ているわけです。
 しかも、三千時間を超すような過酷な労働時間。時間当たりで見ますと千四百十円。しかし、全体の所得にしますと都市並みと大体変わりないというようなことを言う人がいるんです。それは何かというと、三千時間も働いているわけですから。都市の労働者はその間千六百時間とか、まあ二千時間以下であることだけは間違いないわけですから、そのことによって、だから過酷な労働に耐えてやって初めて都市並みの所得を得ているというのが酪農の実態なんですね。
 来年から制度を変えていく中で、この乖離をどんな形で一年間検討して、都市並みの時間当たりの所得に近づける方策を考えていくべきだと私は思うんです。ここで今その具体的なことを大臣に聞くのは酷な話でして、結果としてこうなっていますから、審議官、それを一年かかって研究して、新しい制度の中に入れる努力をすると。もし審議官がそれに対してきちっとしたことを言えなかったら大臣としてこれに対してどういう指示をするか、その点についてももし大臣からもあればお聞かせいただきたい。ですから、まず審議官から事務的に聞かせていただきたいと思います。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) ただいま委員の方から労賃の関係での御指摘がございました。
 確かに、酪農部門ということでの労賃の統計もございまして、それは乳量といいますか乳価だけの数字ではなくて、あわせて育成をやっておられるとか、そういうことも込みの数字であると聞いておりますけれども、そういう実態にあるということは十分認識をいたしまして、今後の政策運営に当たりまして、いかに的確な対応ができるかということは十分勉強してまいりたいと思っております。

中川義雄 もし大臣からあれば。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 新しい制度に移行するに当たりまして、できるだけ不安がないように、不安のある要素があればそれに対してどう対処するかということを一つ一つ解決、また検討しながらこれに当たっていきたい、このように考えております。

中川義雄 審議官、お聞きしますが、聞きますと、今時間当たりの労務費としての費用の積算根拠は五人以上の製造業の時間当たりの単価だと。これには経営者の賃金が入っていますか。普通、企業というのは経営者と使われている労働者と二つあるわけですから、経営者の賃金が入っているかどうか。
 というのは、酪農というのは、経営者という一面も労働者としての一面も非常に多く持っていると同時に、すべて責任を持って計画を立て、厳しい情勢の中でやっていくという酪農家。しかも、規模からいっても今では飼育頭数百五十頭ぐらいが普通になってきて、欧米の一流の酪農家と対等にやっている中で、その酪農家の評価を、経営者としての側面を見るか見ないかということは大切なんですけれども、この毎勤統計の中には経営者の分が入っているかどうか、その点だけを教えていただきたいと思います。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) 私どもは、保証乳価の算定に当たりまして評価がえをしているわけでございますが、その原データといたしましては、略称毎勤統計というデータを使ってございます。このデータの中には、常勤役員の報酬等は入ってございますが、トップの社長といいますか、その給与は入ってございません。
 つけ加えて申し上げますと、そういう経営者としての立場というものは、私どもは企画管理労働というそういう労働を別途、圃場とは別に算定をいたしまして算入するという手法をとっておるところでございます。

中川義雄 審議官、申しわけありませんが、あなた間違えているんです、毎勤統計の性格を知らないから。経営者の賃金も入っているんですよ。例えば、部長というのは役員であって、役員報酬と部長としての給与と両方もらっているんです。毎勤統計に出てくるのはその部長としての給与だけで、役員としての報酬は出てこないんです。いいですか。
 ですから、ここが大事なところで、酪農家を経営者として見たら、普通の一般の企業の平役員で結構ですから、のもらっている報酬部分をどうやって酪農家にも見るか。そうしないと、なぜ私がそのことを心配するかというと、今、後継者がいなくて困っているんです。それはなぜ一番困るかというと、都市の労働条件と酪農家の労働条件と比較して、優秀な酪農家ほど後継者を、できればこんなつらい仕事をさせないで都市の労働者にさせたいというのが、かなり優秀な人でもそう思うというのは、都市の労働者と酪農や一般の農民との格差がそこにあるからであります。
 これからは、交付金と市場のメカニズムにある程度の政策的な配慮を、その政策的な配慮に酪農家の苦労というものをいかにして配慮するか、経営者としての側面をどう見ていくか、労働時間の三千時間を二千時間でも十分やっていけるというような酪農経営をどうするかということが基本になければならないと思いますが、その点ではちょっと審議官の考え方とずれがあると思いますが、もう一回、私の言っていることでここが間違いだと、あったら指摘してください、私も訂正しますから。ありますか。

政府参考人(川村秀三郎農林水産大臣官房審議官) 私の承知しております限りでは、役員報酬まで含めて入っているというふうに聞いておりましたけれども、再度調べてまいりたいと思います。

中川義雄 それでは、ちょっと視点を変えて見てみますが、基本法に基づいて今基本計画で新しく一番大変な作業をしているのは自給率をどう見るかということであります。当面十年間、平成二十二年までで四五、五ポイントぐらい上げるという自給率の向上を見たわけですが、その中で、牛乳・乳製品の自給率の考え方、そしてその間の需要と国内生産の推移をどう見て、そしてそれを確保するための課題をどうとらえているか、この点についてもしありましたらお示しいただきたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十二年度の牛乳・乳製品の食料自給率目標につきましては七五%としたところであります。この中で、牛乳・乳製品の消費については、趨勢をベースに、適正な栄養バランスの実現や、食べ残し廃棄の減少等を踏まえて、望ましい食料消費の姿として千三百十八万トンとしたところであります。他方、生乳の国内生産につきましては、品質、生産性の向上等、関係者が取り組むべき課題が解決された場合に到達可能な水準である生産努力目標として九百九十三万トンとしているところであります。

中川義雄 畜産も酪農もどうしても日本の土地条件からいって耕地面積が比較的少ない。ですから、安いえさを海外に依存するという傾向が非常に強い、それが自給率を低めていることは間違いない事実なんです。ですから、国産での飼料の自給率の向上というのは農政の重大な課題になると思いますが、その点はこの基本計画ではどうとらえているでしょうか。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 自給飼料の増産を図るということは食料自給率の向上上必要不可欠な課題であると認識をいたしております。
 このため、飼料増産推進計画を策定いたしまして、転作田等既耕地の活用による飼料作物の作付拡大、さらには飼料生産の共同化や受託組織の育成、また日本型放牧の普及、定着、単収の向上、土地利用高度化等の技術普及等の各般にわたり施策を講じてまいりまして、飼料の増産に向けて努力をする、こういう考えであります。

中川義雄 もう時間がありませんから最後になります。
 環境対策、これは酪農家にとって命にかかわっているんです。今でも鹿児島の漁師さんか何かから訴訟でも起こされたら、すぐやめなければならないぐらい急を要しているわけです。法律をつくって五年間でそれを拡充して、農家には罰則規定までという厳しいものです。
 それで、その対策としてリース制度、非常に喜ばれている百五十億という金額なんですが、北海道の場合それが五十億配分されております。それでやってみますと十年かかるというんです。ですから、今この制度を、大臣、どんなことがあっても倍額にするか何かしないと、法律でつくっても対策費が足りないのでは話になりませんので、その辺の決意だけ伺って終わりたいと思います。

国務大臣(玉沢徳一郎農林水産大臣) 今、委員が言われましたように、現在の状況でいけば十年かかるというのが北海道の現状であるということを踏まえまして、百五十億に対しましてこれをもっとふやしていくということをまずここで表明したいと思います。何とか五年間でできるような予算措置もこれからしてまいりたい、こう考えております。

中川義雄 ありがとうございます。よろしく。以上で終わります。